第24回党大会決定

日本共産党第24回大会決議


 日本共産党第二十四回大会最終日の十四日、採択された大会決議全文は次のとおりです。

[目次]

 第一章 自民党政治の異常な特質と、日本改革の方針

 (1)世界に類例のない異常な特質にメスをいれる改革を

 (2)過去の侵略戦争を正当化する異常――大本からの転換は急務

 (3)アメリカいいなり政治の異常をただし、独立・平和の日本をきずく改革を

 (4)極端な大企業中心主義の異常をただす、経済的民主主義の改革

 第二章 二一世紀の世界の構造変化と日本共産党の立場

 (5)世界の平和秩序を築くたたかいについて

 (6)日本共産党の野党外交について

 (7)資本主義をのりこえる新しい社会への展望

 第三章 国民要求にこたえ、党を語り、国政選挙と地方選挙での本格的前進を

 (8)この三回の国政選挙のたたかいの教訓ふまえ、本格的な前進へ

 (9)政党としての大道を歩む日本共産党――今日の政党状況のなかで

 (10)「たしかな野党」の責任をはたし、憲法改悪を許さず、日本改革の方針を大いに語る

 (11)二〇〇七年の二つの全国的政治戦をたたかう方針について

 (12)つぎの衆議院選挙での本格的な前進をめざす活動について

 第四章 多数派結集をめざす国民運動の発展のために

 (13)労働組合運動が、本来の役割を発揮し、新たな前進を

 (14)革新懇運動、国民各層・各分野でのたたかいについて

 第五章 党建設を本格的な前進の軌道に

 (15)いま党建設にとりくむ意義を三つの角度からつかむ

 (16)どのようにして党建設を本格的前進の軌道にのせるか


日本共産党第二十四回大会決議

第一章 自民党政治の異常な特質と、日本改革の方針

(1)世界に類例のない異常な特質にメスをいれる改革を

 自民党政治の危機とゆきづまりは、外交でも、内政でも、最も深刻な段階をむかえている。多くの国民が、現在と将来の暮らしに展望がもてず、不安と閉塞(へいそく)感を感じている。アジアの近隣諸国との関係の悪化をはじめ、日本外交のおちいっている「八方ふさがり」は、戦後かつてない深刻なものである。これらの根底には、世界の他の資本主義国にも類例のない、自民党政治の三つの異常な特質がある。

 ――過去の侵略戦争を正当化する異常。

 ――アメリカいいなり政治の異常。

 ――極端な大企業中心主義の異常。

 これらの異常な特質は、戦後の自民党政治に綿々とひきつがれてきたものだが、小泉内閣の四年九カ月は、それを極端なものにまで膨れ上がらせ、二一世紀の日本の前途をいよいよ危ういものにしている。

 さきの総選挙で、小泉・自民党は、郵政問題一本に争点をしぼり、自らの失政と悪政を覆い隠すという、国民をあざむく方法で、危機におちいった自民党政治の延命をはかる戦術をとった。それは、財界とマスメディアの全面支援をえて、国民の一定の支持を獲得し、自民・公明両党は、議席では多数をしめることに成功した。

 しかし、それは自民党政治の一時の延命になっても、この政治のもつ異常な特質と国民との矛盾、世界の流れとの矛盾を解決するものではない。うそとごまかしが明らかになれば、政治の大きな激動はさけられない。

 日本の政治のゆきづまりの打開の道は、三つの異常なゆがみそのものに根本からメスをいれ、それをただす改革をすすめることにある。日本の情勢は、古い政治の枠組みを打開する新しい政治を切実にもとめる、歴史的時期をむかえている。日本共産党が前大会で決定した新しい党綱領と日本改革の方針は、その道をしめすものである。

(2)過去の侵略戦争を正当化する異常――大本からの転換は急務

 第一は、過去の侵略戦争を正当化する異常な政治を、大本からただす改革である。

 (1) この数年来、「過去の日本の戦争は正しかった」と歴史を偽造する勢力が台頭し、そのなかで、小泉首相の靖国神社参拝、戦争礼賛を子どもたちに教え込もうとする歴史教科書問題という、二つの重大な逆流がつくりだされた。

 自民党政治は、過去の侵略戦争にたいしてまともな反省をしないまま、戦後の時代をすごしてきたが、戦後六十年をへたいま、侵略戦争の“名誉回復”をはかろうという動きが、公然と頭をもたげてきたことは、きわめて重大である。

 このもとで日本共産党の不破議長は、二〇〇五年五月十二日に開いた時局報告会で、「日本外交のゆきづまりをどう打開するか」と題する講演をおこなった。わが党は、この講演につづけて、一連の「しんぶん赤旗」での論説や国会質問で、問題の核心を明らかにするとりくみをすすめた。

 靖国神社の歴史観、戦争観――過去の日本の侵略戦争を、「自存自衛の戦争」「アジア解放の戦争」として正当化する“靖国史観”にたいして、日本政府が公認のお墨付きをあたえるような行動をとることが、今日の世界において許されるか。ここに、問われている問題の核心があることを、わが党は明らかにしてきた。

 わが党の問題提起にたいして、国内外で反響が広がった。あるジャーナリストは、「靖国史観を被告席につかせた」と評したが、多くの人々がはじめて問題の本質を知り、国際的にも批判が広がった。批判の矛先は、“靖国史観”そのものにむけられ、ことに靖国神社が境内に設置している遊就館――侵略戦争礼賛の展示物などが並べられている軍事博物館の存在は、世界に広く知られるようになった。

 (2) 内外の批判にもかかわらず、小泉首相は、五年連続で靖国神社に参拝するという行動をとった。首相は、国会でのわが党の追及にたいして、「靖国神社の考えと、政府の考えは違う」と答弁していた。この答弁にてらしても、首相の連続参拝は、説明がつかず、道理がたたないものである。

 首相による靖国参拝が、日本の国策として固定化される危険が生まれていることは重大である。かりに日本がそうした方向にすすむならば、日本の国益の損失ははかりしれないものとなる。

 この問題は、中国、韓国など、アジア諸国との関係の問題にとどまらない。日本と世界の関係の問題である。戦後の国際秩序は、かつて日本、ドイツ、イタリアがおこなった戦争が、犯罪的な侵略戦争であったという共通の認識にたち、二度とこうした戦争を許さないという決意のうえになりたっている。これを否定することは、世界の秩序に挑戦するものにほかならない。

 現に首相の靖国連続参拝にたいして、中国、韓国などアジア諸国の政府・メディアからきびしい批判がよせられたのはもとより、欧米諸国の主要なメディアからも批判の論説が集中した。

 米国の動きをみても、ブッシュ大統領は、対日戦勝六十周年の記念演説のなかで、「アジア解放のための戦争」という侵略戦争正当化論をきびしく批判した。米国議会下院が第二次大戦終結六十周年にあたって採択した決議には、過去の日本の戦争犯罪を再確認する一文が明記された。首相の連続参拝にあたって、米下院の外交委員長は、駐米日本大使あてに、「遺憾」の意をつたえる書簡を送った。これらは、米国政府や議会が、“靖国史観”が今日の日本に存在していることに注意をむけ、特別の憂慮と懸念を表明したものにほかならない。

 二〇〇五年十一月から十二月にかけて、APEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議、ASEANプラス3(東南アジア諸国連合と日本・中国・韓国)、東アジア首脳会議など一連の重要な国際会議が開かれたが、日本外交の孤立は一段とすすんだ。

 日本政府が“靖国史観”を肯定する行動をとりつづけるならば、日本外交のゆきづまりと孤立は、いよいよ深刻にならざるをえないことを、強く警告しなければならない。

 (3) わが党が前大会で決定した新しい綱領は、第一章「戦前の日本社会と日本共産党」のなかで、日本がおこなった侵略戦争について、戦争の性格、戦争の開始と拡大、敗戦にいたる経過、それがもたらした惨害などを、端的に明らかにしている。わが党が、綱領の冒頭に戦前の問題をのべたのは、これが現在の情勢と党の任務を理解するうえで不可欠であるという立場からであったが、この間の情勢の展開は、これらの綱領の規定の重みを、痛切にしめすものとなった。

 また、新しい綱領は、第四章「民主主義革命と民主連合政府」のなかで「新しい日本の平和外交」の方針の冒頭に、「日本が過去におこなった侵略戦争と植民地支配の反省を踏まえ、アジア諸国との友好・交流を重視する」と明記している。

 侵略戦争を正当化する異常な政治から脱却し、大本からの転換をはかることは、民主的政権の樹立を待たずに実行すべき、急務中の急務の課題である。

 歴史は、後で作り替えたり、塗り替えたりできない。しかし、歴史の事実に向き合うことはできる。過去の過ちに正面から向き合い、反省を言葉だけでなく行動でしめしてこそ、アジアと世界の人々から信頼される日本をきずくことができる。日本政府に、こうした転換をおこなわせるためにも、日本の国民一人ひとりがこの問題に真剣にとりくみ、歴史の事実に背をむけた戦争礼賛論を許さない国民的な合意をつくりあげていくことがもとめられる。

 日本共産党は、戦前・戦後の歴史をつうじて、反戦・平和を不屈につらぬいた党として、歴史を偽造する逆流の根をたつために力をつくすものである。

(3)アメリカいいなり政治の異常をただし、独立・平和の日本をきずく改革を

 第二は、異常なアメリカいいなり政治をただし、独立・平和の日本をきずく改革である。

 新しい綱領は、日本の現状を、「きわめて異常な国家的な対米従属の状態」と規定し、この体制を打破することを当面する政治変革の最大の課題と位置づけている。小泉政権のもとで、アメリカいいなり政治の異常は、さらに極端なものになった。

 (1) 日米軍事同盟の体制は、日米安保条約の枠組みさえこえた、地球的規模の「日米同盟」への侵略的変質を深めている。

 すでにそのことは、この数年間にあいついでつくられた自衛隊の海外派兵法に、あらわれている。この間、一九九九年に「周辺事態法」(ガイドライン法)、二〇〇一年に「テロ特措法」、二〇〇三年に「イラク特措法」と、三つの海外派兵法がつくられ、インド洋やイラクへの自衛隊派兵が強行されるという事態がおこった。この三つの海外派兵法できめられた内容は、そのどれもが日米安保条約の枠組み――「日本有事」のさいの「日米共同行動」、「極東有事」が日本に波及したさいの「日米共同行動」という枠組みをこえ、地球的規模での日米の軍事共同に道を開くものとなった。

 政府は、その「根拠」を、「日米同盟」のためと説明するが、どんな軍事同盟でも条約上の権利と義務で組み立てられているものである。それをこえて「日米同盟」のためという理由だけで、アメリカの戦争に世界のどこであれ無条件に協力する――これはまともな主権国家ではありえない異常な従属の姿というほかない。

 アメリカ・ブッシュ政権が、地球的規模ですすめている「米軍再編」は、(一)米軍を、先制攻撃の戦争をたたかうために、世界のどこにでも迅速に展開できる、より機動的な軍隊につくりかえ、再配備するとともに、(二)この戦争をともにたたかうために、同盟国との本格的な軍事的協力体制をつくりあげることを目的としている。

 「日米同盟」の強化は、その中軸的位置をあたえられており、世界でも突出した異常性と従属性をもっている。

 二〇〇五年二月と十月におこなわれた日米安全保障協議委員会(2プラス2)の共同文書には、「日米同盟の変革と再編」という名で、「日米同盟」の地球的規模への拡大という方向を、さらに大きくおしすすめる重大な内容が盛り込まれた。

 ――日米の「世界における共通の戦略目標」として、「国際テロ」「大量破壊兵器」への対抗が掲げられた。すなわち世界のどこででも、アフガン戦争、イラク戦争のような先制攻撃の戦争がおこなわれたさい、日米が軍事共同をすすめることが、「共通の戦略目標」とされた。また「地域における共通の戦略目標」としてアジア太平洋地域の「不透明性や不確実性」への対処をあげ、日米が共同してこの地域での軍事的対応をおこなうことを宣言した。

 ――米軍と自衛隊が一体になって海外での共同作戦を可能にする態勢づくりがうちだされた。米軍と自衛隊が、司令部機能の統合、基地の共同使用、共同演習の拡大、情報・通信ならびに作戦と運用の一体化を、より一段とすすめ、世界中の紛争に介入する態勢をつくることが確認された。日米の軍事一体化は、自衛隊を米軍の補完戦力として、その指揮下に組み込むという従属的一体化を重大な特徴としている。そのために自衛隊の海外派兵の恒久立法や秘密保護法など、新たな法整備が計画されていることは、重大である。

 ――在日米軍基地の機能の強化・永久化がおしつけられようとしている。沖縄の海兵隊のための新基地建設、神奈川県・キャンプ座間への米陸軍の新しい司令部の移設、横須賀基地への原子力空母の配備、山口県・岩国基地への空母艦載機の移転など、いますすめられている基地増強計画に共通しているのは、在日米四軍――陸海空・海兵隊の、海外への「殴りこみ」機能を一段と強化することである。在日米軍再編の財政負担を日本国民におしつけるくわだてがすすんでいることも重大である。

 また、キャンプ座間に米陸軍の新しい司令部を移設するとともに陸上自衛隊の新たな戦闘司令部を設置し、東京都・横田基地の在日米空軍司令部に航空自衛隊の戦闘部隊を統括する司令部を併置するなど、在日米軍と自衛隊との司令部機能の統合がすすめられようとしている。

 「日米同盟の変革と再編」の名でおこなわれている、地球的規模での海外派兵態勢づくりの際限ないエスカレーション(拡大)、在日米軍基地強化・永久化のくわだてを許さないためのたたかいは、直面する熱い課題である。

 (2) こうした「日米同盟」の侵略的強化の道は、日本国憲法――とりわけ憲法九条といよいよ両立できなくなっている。

 自民党政府は、これまでに、さまざまな自衛隊の海外派兵法をつくってきた。しかし、どの海外派兵法でも、こえられない一線があった。それは海外での武力の行使である。「周辺事態法」「テロ特措法」「イラク特措法」など、これまでの海外派兵法では、「武力による威嚇又は武力の行使」は、明文的に禁止されている。

 海外での武力の行使の「歯止め」となってきたのが、憲法九条、とりわけ「戦力保持の禁止」と「交戦権の否認」をさだめた九条二項である。戦後、政府は、憲法にそむいて自衛隊を創設し増強してきた。そのさい政府は自衛隊について、「わが国の自衛のための必要最小限度の実力組織であり、憲法九条が禁止している戦力にはあたらない」ことを建前としてきた。政府は、この建前から出てくる結論として、「武力行使を目的とした海外派兵」「集団的自衛権の行使」「武力行使をともなう国連軍への参加」は、憲法上許されないということを公式の見解とせざるをえなかった。

 憲法九条二項を改変、削除し、「自衛軍の保持」などを書き込んだとたんに、この「歯止め」はとりはらわれてしまう。すなわち、「海外派兵」「集団的自衛権の行使」「国連軍への参加」など、海外での武力の行使に道が開かれてしまう。

 アメリカの先制攻撃の戦争に参戦するために、自衛隊を「戦争のできる軍隊」にし、日本を「戦争をする国」につくりかえること――ここに憲法九条改変の最大の核心がある。この正体を広く伝えきることが、憲法改悪反対の国民的多数派を結集していくうえでの最大の要である。

 (3) 「日米同盟」の侵略的変質、憲法改悪という道が、どんなに異常な逆流であるかは、世界に目をむけると歴然としてくる。いま世界では、憲法九条を、国際社会の平和秩序をつくっていくうえでの指針、とりわけ東アジアでの平和と安定の秩序をつくるうえでの指針として評価する動きが広がっている。

 ――二〇〇五年七月、ニューヨークの国連本部で世界百十八カ国のNGO諸団体が参加しておこなわれた「GPPAC(ジーパック)」(武力紛争予防のためのグローバルパートナーシップ)の国際会議が採択した「世界行動宣言」では、「世界には、規範的・法的誓約が地域の安定を促進し信頼を増進させるための重要な役割を果たしている地域がある。たとえば日本国憲法第九条は、……アジア太平洋地域全体の集団安全保障の土台となってきた」と、九条を平和の土台として高く評価している。それにさきだって二月に採択された「GPPAC北東アジア地域行動宣言」では、「九条の原則は、普遍的価値を有するものと認知されるべきであって、北東アジアの平和の基盤として活用されるべきである」とのべている。

 ――二〇〇五年六月、パリでおこなわれた国際民主法律家協会の第十六回大会が採択した「日本国憲法第九条についての決議」では、「人類は、戦争のない二一世紀をつくることを悲願としており、その悲願は、第九条に表された法的な原理に支えられている」とし、「第九条は、人類に与えられた小さな包みに入った贈り物」であり、「その宝物を破壊してはならない」とのべている。

 ――二〇〇四年七月、アメリカの「平和のための退役軍人会」が採択した決議「危機に瀕(ひん)している日本国憲法第九条を支持する」では、「親愛な日本の友人のみなさん、私たちは、九条が『戦争による支配』を『法の支配』に置きかえる地上の生きた模範であるというあなた方の考えを共有する」とのべている。

 こうした動きのなかで、憲法第九条が、たんに日本の平和的進路にとって重要な意義をもつにとどまらず、世界と地域の平和秩序をつくるうえで、「土台」「基盤」「模範」「法的な原理」など普遍的価値をもつものであることが、共通してのべられていることは注目される。

 こうした動きがあいついで起こる背景には、国連憲章にもとづく平和の国際秩序をめざす地球的規模での波の高まりがある。またアメリカを中心とする軍事同盟体制が、世界でも、アジアでも、その多くが解体、機能不全、弱体化におちいり、それにかわって仮想敵国をもたない平和の地域共同体が広がるという、世界の大きな変化がある。

 戦後、日本国民が、憲法九条をつくったさい、そこには日本が二度と戦争をする国にならないという「不戦の誓い」とともに、戦争放棄と軍備禁止という恒久平和主義を極限にまですすめた道に世界にさきがけて踏み出すことで「戦争のない世界」への先駆になろうという決意がこめられていた。戦後六十年をへて、国際政治の現実が、憲法九条が掲げた理想に近づいてきているのである。

 (4) 新しい綱領は、「日米安保条約を、条約第十条の手続き(アメリカ政府への通告)によって廃棄し、アメリカ軍とその軍事基地を撤退させる。対等平等の立場にもとづく日米友好条約を結ぶ」ことを、日本の民主的改革の方針の冒頭に位置づけている。

 また、「現行憲法の前文をふくむ全条項をまもり、とくに平和的民主的諸条項の完全実施をめざす」ことを明記している。

 綱領のしめす方向にこそ、二一世紀の世界の流れにそった未来ある道がある。日本共産党は、憲法改悪反対の一点で国民的多数派を結集する運動、米軍基地強化を許さないたたかいなど、一致する要求で立場の違いをこえた共同をつくりつつ、日米安保条約解消の国民的世論を広げるために奮闘するものである。

(4)極端な大企業中心主義の異常をただす、経済的民主主義の改革

 第三は、「ルールなき資本主義」――極端な大企業中心主義の異常をただす、経済的民主主義の改革である。

 (1) 小泉内閣が、「構造改革」としてすすめてきた「新自由主義」の経済路線――大企業の利潤追求を最優先にし、規制緩和万能、市場原理主義、弱肉強食をすすめる経済路線は、日本経済と国民生活の矛盾をあらゆる分野で深刻にしている。

 イ、「ルールなき資本主義」のもとでの貧困と社会的格差の新たなひろがり……雇用と所得の破壊、中小零細企業の倒産・廃業・経営難がすすむもとで、九〇年代末から貧困と社会的格差の新たなひろがりが重大な社会問題となっている。

 低所得層の増大という傾向が顕著にすすんでいる。生活保護世帯は百万世帯を突破した。教育扶助(生活保護)・就学援助(生活保護に準じる水準世帯の児童・生徒におこなう給食費や修学旅行費、学用品などの援助)を受けている児童・生徒の割合は、12・8%とこの十年で二倍以上になった。貯蓄ゼロの世帯が急増し、23・8%に達している。年金はわずか月数万円、貯蓄もないという高齢者が増えている。

 国際比較でみても、日本における貧困層と社会的格差の広がりは顕著である。OECD(経済協力開発機構)の調査では、日本の貧困率(全世帯の等価可処分所得の半分以下しか収入のない世帯を貧困としてその人口比率を出したもの)は、15・3%に達している。貧困率は、調査した加盟二十五カ国のなかで第五位で、OECD諸国の平均10・2%を大きく上回っている。

 これらの根底には、人間らしい雇用の破壊がある。大企業・財界は、中高年への「リストラ」と新規採用抑制によって、正社員を減らし、派遣や請負、パート、アルバイトなど非正規雇用への置き換えをすすめ、労働者の三人に一人、若者の二人に一人は、不安定雇用のもとにおかれ、極端な低賃金や無権利状態に苦しめられている。政府は、「労働法制の規制緩和」の名で、財界の横暴勝手を全面的に支援してきた。連続的におしすすめられた税制・社会保障改悪も、貧困と社会的格差の新たな広がりをつくり、それに拍車をかけている。

 ロ、庶民大増税と社会保障の連続改悪……政府・与党は、民主党と競いあうようにして、庶民大増税への暴走をはじめようとしている。いま計画されている増税計画は、消費税増税と、所得税増税で、合計二十四兆円という史上空前の規模である。この増税計画は、所得の少ない人、社会的弱者に容赦なく襲いかかり、税負担能力に応じた負担(応能負担)と生計費非課税、所得の再配分という税制の民主的原則を根本から破壊するものである。

 社会保障は、医療、年金、介護、障害者支援で、連続的な改悪が強行され、二〇〇六年には、ふたたび医療の大改悪がねらわれている。社会保障とは、ほんらい人間らしい暮らしの支えになるべきものだが、それが反対に人間の尊厳を踏みにじるものにおとしめられている。政府・財界から、社会保障給付費を経済の伸び率以下に抑制する方針が打ち出されているが、これはたえがたい負担増・給付減をもたらすものである。日本の社会保障給付費は、対GDP比でヨーロッパ諸国に比べていまなお低い水準にあり、抑制しなければ経済も財政も破綻(はたん)するかのような脅しに根拠はない。

 庶民大増税と社会保障の連続改悪の根底には、財界・大企業の横暴勝手がある。これまでも、財界のもとめにしたがって法人税の減税が繰り返され、大企業はバブル期を上回る利益をあげているのに、法人税収は半分にまで落ち込んだ。そのうえ、日本経団連は、消費税・所得税の増税とともに、法人税のいっそうの減税を要求し、企業の社会保険料負担をいっさいなくすことまで求めている。財界・大企業の負担を減らし、その穴埋めを庶民生活におしつける――これがいまおこなわれていることの真相である。

 ハ、日本経済へのアメリカの介入……アメリカ政府は、一九九四年から毎年、日本に「年次改革要望書」を提出して規制緩和と市場開放をせまり、実現した成果を国内の報告書で自慢しているという実態が、明らかにされている。

 人材派遣の自由化(米国の要求は一九九六年)、大店法の廃止(同一九九七年)、郵政民営化(同一九九九年)など、米国が要求したものが、数年後には実現する、異常な内政干渉のシステムがつくりあげられている。これらは日本の財界との二人三脚ですすめられている。

 アメリカ政府は、IMF(国際通貨基金)、世界銀行などとともに、経済の「グローバル化」の名のもとに、「新自由主義」にもとづく「構造改革」を、世界の多くの地域におしつけてきた。この動きは、「ワシントン・コンセンサス(合意)」のおしつけと、世界でもきびしく批判されてきた。「年次改革要望書」を軸にした日本経済への介入は、その最も悪質なあらわれである。

 アメリカ型経済の鋳型にあわせて日本を改造するこれらの動きは、国民生活と日本経済の危機と矛盾を、いっそう深刻なものとしている。

 ニ、社会のゆがみの進行と少子化……「構造改革」の名による財界・大企業の利益至上主義の政治は、国民が現在と将来に希望のもてない閉塞感をひろげ、日本社会のゆがみの進行、荒廃と衰退への傾向をつくりだしてきた。

 経済苦による自殺の増加が、重大な社会問題になっている。「勝ち組・負け組」を当然視し、社会的弱者にたいする攻撃に痛みを感じない風潮が生まれている。高齢者や子どもへの虐待、家庭基盤の崩壊、犯罪の増加など、社会の病理現象が深刻になっている。その一方で、ぬれ手で粟(あわ)の錬金術で大もうけしている投資家たちがもてはやされる現象が広がっている。

 少子化がすすみ、日本社会の基盤をゆるがす重大問題となっている。長期にわたって少子化傾向がつづいている根本には、不安定雇用の広がりと異常な長時間労働、賃金の抑制、増税にくわえ出産・育児・教育などの経済的負担の増大、子育ての社会的環境の悪化など、大企業中心主義の政治がつくりだした社会のゆがみがある。

 欧州で、落ち込んだ出生率を引き上げることに成功している国では、雇用政策、経済的負担の軽減など家族政策、男女平等政策など、総合的な視点から、社会のあり方を変える位置づけでのとりくみがおこなわれている。

 ところが、日本政府は、口先では、十年以上前から「少子化対策」をとなえてきたが、現実にやってきたことは、「労働法制の規制緩和」による働くルールの破壊、子育て世代への増税や負担増、保育料の値上げや保育サービスの後退など、子育てへの障害をつくりだす政治だった。少子化問題を増税や社会保障切り捨ての脅しの口実につかうことには熱心だが、本腰を入れたまともな対策は何一つない。ここでも、自民党政治は、日本の社会の将来にたいする責任を放棄してしまっている。

 「構造改革」が、日本の社会をどれだけゆがんだものにしてきたか。いまその全面的な告発が必要である。それは、人間がともに支えあう社会のありようを否定し、弱肉強食の寒々とした社会をつくりだしつつある。日本社会と経済の将来にむけての持続的な発展を不可能にするところまで、深い矛盾を蓄積している。

 (2) 日本共産党は、人間らしい暮らしの基盤を破壊する攻撃にたいして、社会的反撃をもってこたえるたたかいの先頭にたって奮闘する。とりわけ、庶民大増税に反対するたたかい、社会保障切り捨てを許さないたたかい、人間らしい雇用をもとめるたたかいは、直面する熱い焦点である。

 新しい綱領に明記された「経済的民主主義の分野」での六つの改革――「『ルールある経済社会』をつくる」、「大企業にたいする民主的規制を主な手段として、その横暴な経済支配をおさえる」、「大企業・大資産家優遇の税制をあらため、負担能力に応じた負担という原則にたった税制と社会保障制度の確立」などは、今日の日本経済と国民生活の危機を打開する道を全面的にしめすものである。綱領は、少子化問題についても、「日本社会として、少子化傾向の克服に力をそそぐ」と、この課題を日本社会の最重要課題の一つとしてとりくむべきことを明記している。

 日本共産党は、新しい綱領のしめす経済の民主的改革の立場にたって、国民生活の擁護と、日本経済の健全な発展のために奮闘する。

 (3) わが党の経済的民主主義の路線への広い国民の支持と共感をえるためには、つぎの諸点に留意してとりくむことが大切である。

 イ、大企業・財界の横暴な支配を生きた事実で具体的に告発する……七〇年代前半には、公害問題や物価問題などで「大企業の横暴」が誰の目にも明らかになり、国民的批判にさらされた。その後、八〇年代、九〇年代をつうじて、「民間は必死に努力している」式のキャンペーンが洪水のように流されるなかで、「大企業の横暴」の実態が見えづらくなる状況も強まった。国民意識をふまえ、大企業・財界の横暴な支配の実態を、生きた事実で批判、告発していくとりくみが重要である。

 「構造改革」路線が、財界による“専制的”ともいうべき直接的な政治支配によってすすめられている実態の告発は、その重要な内容の一つである。「政策評価」にもとづく企業献金という政策買収のシステム化、経済財政諮問会議をはじめとする財界首脳による政策決定への直接指揮、今回の総選挙にみられた文字どおりの“財界ぐるみ選挙”というほかない選挙戦へのあからさまな介入など、国民生活を脅かす自民党政治が、財界の直接の支配と指揮のもとにおこなわれていることを、生々しく明らかにしていく。

 大企業・財界による横暴な支配の告発とともに、わが党は、「大企業敵視」論にたつものではなく、その「横暴と身勝手」を問題にし、大企業にその社会的存在にふさわしい社会的責任と負担をもとめていることなど、“民主的ルールのもとでの大企業との共存”という綱領の立場を明らかにしていくことも、大切である。

 ロ、国民に苦難をおしつけるための、誤った考え方を打ち破る……「構造改革」を国民に無理やりおしつけるために、さまざまな誤った考え方――「官から民へ」「小さな政府」「公務員の既得権益打破」などが広く流布されている。

 「構造改革」の考え方に共通するのは、国民の中に「対立」をつくり「分断」をはかることである。「公務員労働者と民間労働者」、「現役世代と高齢者」、「労働者と自営業者」、「働く女性と専業主婦」など、意図的に「対立」をつくり、暮らしを壊す政治に反対する勢力や運動を、「既得権益」を守るための「利己的」行動とえがいて攻撃する。これが常とう手段である。

 こうした国民分断の攻撃にたいして、社会的連帯を大きくおしだし、その立場にたった反撃とたたかいをすすめることが重要である。いま「小さな政府」のかけ声ですすめられている公務員攻撃のねらいは、住民サービスの切り捨てとともに、民間労働者との賃下げ競争を加速させること、さらに大増税への地ならしにある。公務員労働者が、この攻撃の本質を明らかにし、「住民との連帯」、「民間労働者との連帯」、「国民との連帯」の立場で、これをはねかえすことがつよくもとめられている。

 ハ、かつてない財政破綻の原因と責任、解決の方向をしめす攻勢的な論戦……国と地方の借金の国内総生産(GDP)にたいする比率は、一九九〇年度が59%だったのにたいして、二〇〇〇年度には126%、二〇〇五年度には150%をこえた。政府・財界は、財政破綻は、自分たちの大失政の結果なのに、これを逆手にとって国民を痛めつける政治をおしつける脅しにつかっている。

 これにたいして、「いったい誰が大赤字と大借金をつくったのか」を明らかにすることによって、解決の方向を大きくしめすことが大切である。一九九〇年代以降の公共投資と軍事費の異常膨張と無駄づかい、大企業・大資産家へのゆきすぎた減税による税制の空洞化こそが、今日の事態を作り出した元凶である。財界・大企業の「既得権益」に抜本的なメスをいれる改革をおこなわなければ、財政危機の打開も、社会保障のための財源もつくれないことを日本改革の方針の重要な内容の一つとして大いに訴え、国民共通の認識にしていくための努力が必要である。

 (4) 歴史への無反省、アメリカいいなり、大企業中心主義――世界でも類例のない異常な特質をもつ自民党政治が、国民との矛盾、世界の流れとの矛盾を深め、どの分野でもいよいよ立ち行かなくなるもとで、いま日本の情勢は、大局的にみれば、国民中心の新しい日本への条件をはらんだ歴史的転機をむかえている。

 二一世紀の早い時期に民主連合政府を樹立するという目標の実現をめざし、日本の進路をしめす羅針盤である新しい綱領を広く国民に語り、情勢の民主的・進歩的打開のために力をつくそう。

第二章 二一世紀の世界の構造変化と日本共産党の立場

(5)世界の平和秩序を築くたたかいについて

 新しい綱領は、「国連憲章にもとづく平和の国際秩序か、アメリカが横暴をほしいままにする干渉と侵略、戦争と抑圧の国際秩序かの選択が、いま問われている」とのべている。この「選択」は、今日の世界の平和をめぐる対決の最大の焦点となっている。

 (1) 米国・ブッシュ大統領は、二〇〇五年一月に第二期政権を発足させた。ブッシュ政権は、とくに二〇〇一年九月十一日の同時多発テロを契機に、先制攻撃戦略、国連を無視した単独行動主義など、きわめて侵略的な外交・軍事戦略を推進したが、第二期政権においても、その基本は変わらない。

 ブッシュ政権はいま、「世界規模のテロ」「大量破壊兵器」などの「新たな脅威」への対抗という名目で先制攻撃戦略をすすめ、最も効率的に軍事力を行使するために、地球的規模での米軍再編成をすすめている。

 このなかでとくに重大なのは、核兵器政策である。ブッシュ政権が十年ぶりに改定の作業をすすめている「統合核作戦ドクトリン」は、非核保有国にたいして核兵器を一方的に使用する要件をいっそう拡大する、危険きわまりない内容となっている。それは、使いやすい新型の小型核兵器の開発、先制核攻撃のための「ミサイル防衛計画」の推進、宇宙の軍事化などの形で具体化されている。米国の核先制攻撃戦略は、きわめて危険な新しい段階に足を踏み入れようとしている。

 同時に、米国の一国覇権主義の道は、破綻と孤立を深めている。イラク侵略戦争につづく軍事占領、抵抗勢力への無差別の軍事掃討作戦が、暴力とテロの悪循環をつくりだし、イラク情勢の泥沼化をまねいている。イラクに派兵した「有志連合」は、軍隊の撤退・削減を決めた国があいつぎ、崩壊への道をたどっている。米兵の戦死者の増加、戦費のとめどもない拡大などに直面して、アメリカ国内でもイラク政策の転換と米軍撤退をもとめる世論と運動が広がっている。

 軍事力一本やりでは対応できない状況に直面して、米国政府のなかに、国際問題を外交交渉によって解決することを模索する動きがおこっていることは注目される。北朝鮮の核問題の解決のための六カ国協議(韓国、北朝鮮、日本、中国、ロシア、アメリカ)において、米国がアジアの情勢の発展を受け入れざるをえなくなり、外交的な方法で対応する動きをみせていることが、指摘されている。中国との関係でも、米国政府内で、長期的視野にたって、中国との平和的共存をはかることを展望した外交戦略を模索する動きがおこり、二〇〇五年十一月の米中首脳会談では両国の「建設的協力関係」を全面的に推進することで一致した。さらにASEAN諸国との関係でも、「ASEANと米国との協力強化に関する共同ビジョン声明」がかわされ、そのなかで「東南アジア友好協力条約(TAC)の精神と原則を尊重する」ことが確認された。

 (2) 前大会決議は、「イラク戦争に反対するたたかいは、各国の民衆のたたかい、世界の多数の国々の政府が、『国連憲章にもとづく平和の国際秩序』をめざして、大きな共同の流れをつくりだす可能性が、地球的規模で広がっていることを示した」と指摘したが、イラク戦争にさいして世界でわきおこった巨大な平和の波は、ひきつづき豊かで多面的な広がりをみせながら前進している。

 ――国連総会で拒否された先制攻撃戦略……これらの平和の流れは、国連の動向に、積極的作用をおよぼしている。それは、二〇〇五年九月の国連創設六十周年を記念する国連特別首脳会議の「成果文書」をめぐる外交的攻防にもしめされた。アメリカは、この文書の準備文書の「差し迫った脅威にたいする先行的自衛」という文言をとらえて、自らの先制攻撃戦略を合理化しようとした。しかし、国連総会の討議をつうじてこのたくらみは拒否され、「先行的自衛」という言葉は採り入れられなかった。「成果文書」は、国連憲章の諸原則、国連の中心的役割、紛争の平和解決、多国間主義などを、今日の国際関係を律すべき基本原則として確認した。

 ――地域の平和共同体の動き……世界各地で、国際秩序の新たな担い手として、自主的な地域の平和共同体の動きが発展している。東南アジア諸国連合(ASEAN)、上海協力機構、南米諸国共同体、アフリカ連合(AU)などである。これらの地域共同体は、共通して、国連憲章にもとづく平和秩序、紛争の平和解決、各国の経済主権の尊重と民主的な国際経済秩序を主張している。また南米・アラブ諸国首脳会議が開催されるなど、地域共同体が相互に協力して、国際的な平和のネットワークをつくる動きがすすめられていることも注目される。

 ――アジアで進む平和の国際体制づくり……地域の平和共同体づくりの動きが、注目すべき進展をみせているのがアジアである。

 ASEANが、紛争の平和解決、武力行使の禁止などをうたって一九七六年にむすんだ「東南アジア友好協力条約」(TAC)は、ASEAN十カ国のほか、中国、韓国、日本、モンゴル、ロシア、インド、パキスタン、ニュージーランド、パプアニューギニア、オーストラリアが加入し、世界人口の53%が参加し、東アジア全体にひろがる平和の共同体を展望するとりくみとなって発展している。

 中国とインド、インドとパキスタンが、和解と友好への動きをみせていることも、注目すべきである。中国・インドは、二〇〇五年四月、長年懸案になってきた国境問題の解決に本格的に踏み出し、「平和と繁栄のための戦略・協力パートナーシップ」を確立した。インドとパキスタンは、カシミール領有をめぐる歴史的な問題をかかえつつも、関係正常化への動きを大きくすすめ、地域の平和的共同に積極的な影響をあたえている。

 北東アジアでも、一つの発展方向が生まれている。北朝鮮の核問題の解決のために、六カ国協議がはじまり、二〇〇五年九月十九日に発表された「共同声明」で、六カ国協議を、「北東アジア地域の永続的な平和と安定のための共同の努力」をはかる舞台として発展させることが、共同の意思として明記されたことは、重要である。

 国連憲章にもとづく平和の国際秩序をめざす流れが、地球的規模で希望ある発展をとげ、とりわけ長年紛争がたえなかったアジアで、平和の共同体をめざす巨大な動きがおこっていることは、胸おどる情勢の変化である。

 (3) 新しい綱領は、党の国際的任務として、「日本共産党は、アメリカの覇権主義的な世界支配を許さず、平和の国際秩序を築き、核兵器も軍事同盟もない世界を実現するための国際的連帯を、世界に広げるために力をつくす」と明記している。二一世紀をむかえた世界の大勢は、わが党がめざすこの方向にこそ未来があることを証明している。

 日本共産党は、この間、イラク戦争に反対するたたかい、核兵器廃絶の運動など、世界平和のための活動を、全国の草の根から、また国際舞台ですすめてきた。この努力のなかで、原水爆禁止世界大会にみられるように、「政府、団体、個人の平和をめざす国際的共同」が発展していることはきわめて重要である。

 わが党は、国連憲章にもとづく平和秩序を築き、核兵器の緊急廃絶を実現するなど、世界平和のためのたたかいに、国内外でひきつづき力をつくすものである。

(6)日本共産党の野党外交について

 (1) 日本共産党の野党外交は、前大会以降も重要な成果をおさめた。

 二〇〇四年に中国・北京で開かれた第三回アジア政党国際会議は、三十五カ国、八十三のアジアの合法政党が、政権党と野党の区別なしに集まる国際会議として成功をおさめたが、わが党はこの会議に参加し、平和の対話をおこない、多くの新しい友人をえた。この会議で全員一致で採択された「北京宣言」には、「平和の国際秩序の追求」、「戦争・侵略・覇権に反対する」、「いかなる形態のテロリズムにも反対する」、「貧困の克服をめざす国際協力をすすめる」など、国際活動の重要な方向づけが明記された。「イデオロギーの違い」を交流や共同の障害にしないこと、内政不干渉という原則を確認したことも、重要な特徴だった。こうした会議がアジアで開かれ、「北京宣言」が採択されたこと自体が、この大陸でおこっている巨大な進歩の流れを反映するものであった。

 ラテンアメリカでおこっている巨大な社会進歩の流れとの出会いも、この間の大きな出来事だった。二〇〇五年二月にベネズエラで開催されたラテンアメリカ諸国の「社会憲章検討サミット」に、わが党代表も招待されて参加し、この大陸でおこっている変革の息吹に直接ふれた。ラテンアメリカの全域で政治変革の新しいうねりが「面」をなす波としておこっていること、それぞれの政治変革が選挙で多数をえることによって前進をかちとっていること、それぞれの国の経済の民主化をはかるとともにアメリカの支配からの自立を旗印にかかげていることなど、いまこの大陸でおこっている変化は、大きな世界的意味をもつものである。

 (2) わが党の野党外交が発展するのは、いま世界でおこっている大きな変化と、わが党の新しい綱領のめざす方向が、一致しているからである。

 わが党は、新しい綱領に明記した、新しい日本がとりくむべき平和外交の八つの項目を指針として野党外交にとりくんでいる。「国連憲章に規定された平和の国際秩序を擁護」、「民主的な国際経済秩序の確立」、「異なる価値観をもった諸文明間の対話と共存」などは、どれも世界のどこでも通じる普遍的な生命力をもつ“公理”にほかならない。

 日本共産党の自主独立の立場と、反戦・平和をつらぬいた歴史は、野党外交においても、わが党への信頼と共感をえる大きな土台となっている。また、わが党が、内政不干渉の原則をかたくまもり、その国の独自の文化と文明、社会発展の歩みを尊重する態度をつらぬいてきたことも、さまざまな国との友好と交流を発展させるうえで、重要な意義をもつものである。

 (3) 今後を展望した場合に、東アジアでの平和と安定のために力をつくすことは、きわめて重要な課題の一つとなる。

 平和の共同体をめざす動きが、大きく広がっている東アジアのなかで、二一世紀の日本がすすむべき道は、東アジアの一員として、各国の政治的・経済的主権を尊重し、自主的な地域の共同体の発展に積極的に貢献する方向にこそある。

 そのためには、日本外交が、(一)過去の侵略戦争と植民地支配を正当化する逆流を克服すること、(二)アメリカ一辺倒をあらため、アジア諸国との平和の関係を探究する大戦略をもつこと、(三)軍事偏重をやめ、外交による問題解決に徹する姿勢を確立すること、(四)いかなる国であれ覇権をみとめず国連憲章にもとづく平和秩序をまもることなど、アジア諸国民と心かよう方向への転換をかちとることが痛切にもとめられる。

 わが党は、これまでも、歴史問題をめぐる日本外交のゆきづまりを打開する提言、北朝鮮問題の道理ある解決のための提言をおこなうなど、東アジアの平和と安定のための努力をかさねてきた。東南アジアに広がった平和の体制づくりの流れを、北東アジアにまで広げ、東アジアの全体が、戦争や紛争の心配のない地域として発展するために、今後とも力をつくすものである。

 (4) 二〇〇五年十二月におこなわれた日本共産党と中国共産党との会談は、発達した資本主義国で社会主義・共産主義への発展を将来の課題としながらその理論的探求を発展させている党と、社会主義をめざす道をすすむ実践のなかでその理論を探求している党との理論交流として、大きな意義をもつ。

 わが党の新しい綱領が、中国側の提起した広範な問題のすべてにわたってこたえる立場と力をもち、中国の理論研究代表団から、全面的に研究する必要のある理論内容として受け止められたことは、わが党の綱領路線の現代世界における生命力をしめすものである。

 わが党は、国際的な理論交流を、野党外交の重要な分野と位置づけ、いっそう発展させるために努力をはらう。

(7)資本主義をのりこえる新しい  社会への展望

 (1) 新しい綱領は、「二一世紀を、搾取も抑圧もない共同社会の建設に向かう人類史的な前進の世紀とすることをめざして、力をつくす」という壮大な展望をのべている。

 その根拠は、何よりも、「巨大に発達した生産力を制御できないという資本主義の矛盾」のなかにある。

 貧富の格差の拡大と、南北問題の解決は、現在の体制のもとでは不可能だという警告が、国連機関の報告書でものべられている。国連開発計画(UNDP)は、毎年、『人間開発報告書』を出しており、「人間開発」とは貧困や格差の解消をさす言葉として使われているが、その最新版では、「合計で四億六千万人となる十八カ国の二〇〇三年の人間開発指数は、一九九〇年よりも低下した。これはかつてない後退である」とのべ、「直截(ちょくせつ)にいえば、世界は明らかに人間開発の失敗へと向かっている」と結論づけている。これは、極端な貧困、格差の拡大は、いまの世界の体制のもとでは解決しえないという深刻な危機感の表明にほかならない。

 資本主義の利潤第一主義は、人類の生存条件そのものを脅かす新しい矛盾を引きおこしている。地球温暖化、石油など化石燃料の枯渇、大量の廃棄物の発生などの地球環境問題がそれである。環境やエネルギーのように、長期的経過をたどって壊されていく人類の生存基盤をまもるために、人類が長期的な対応をしなければならない場合に、はたして資本主義という利潤第一主義のシステムでやっていけるのか。それは不可能ではないかという問題提起が、地球環境の専門家のなかからも広くあがっている。

 世界の資本主義の現実と矛盾そのもののなかに、わが党がめざす未来社会――社会主義・共産主義への発展の条件が存在しているのである。

 (2) 新しい綱領は、二一世紀の世界は、「発達した資本主義諸国での経済的・政治的矛盾と人民の運動」、「資本主義から離脱した国ぐにでの社会主義への独自の道を探究する努力」、「政治的独立をかちとりながら資本主義の枠内では経済的前途を開きえないでいるアジア・中東・アフリカ・ラテンアメリカの広範な国ぐにの人民の運動」のなかから、「資本主義を乗り越えて新しい社会をめざす流れが成長し発展することを、大きな時代的特徴としている」と、未来社会への発展の国際的条件についてのべている。

 資本主義の危機的な状況をみて、アメリカ、フランス、ドイツの有力なメディアがマルクスを特集するなど、発達した資本主義諸国のなかで、「マルクスを見直そう」という機運が広がっているのは、一つの世界的な傾向となっている。

 社会主義への独自の道を探求している国ぐには、すでに世界政治、世界経済のなかで大きな位置をしめている。多くの主要国の政府が、中国とどのような政治的・経済的関係を築くのかを、外交戦略の大きな課題として位置づけている。

 ラテンアメリカで、民主的な変革にとりくんでいる国のなかから、この改革の前途は何かという問題が提起され、資本主義の道には前途はない、崩壊したソ連は社会主義とはいえないと、独自の社会主義の確立をめざす真剣な議論がはじまっている。

 この激動の時代に、日本共産党が、未来社会論の中心を「生産手段の社会化」におき、「人間の全面的発達」を目標とする社会をめざすことを明らかにした、新しい綱領を確立したことは、大きな意義をもつ。日本共産党という未来社会の展望とかたく結びついた党名を高くかかげ、壮大な展望と大きな志をもって、未来にのぞもうではないか。

第三章 国民要求にこたえ、党を語り、国政選挙と地方選挙での本格的前進を

(8)この三回の国政選挙のたたかいの教訓ふまえ、本格的な前進へ

 この三年間、三回の国政選挙は、財界主導による「二大政党制づくり」の動き、「小泉突風」などの形であらわれた逆風のもとで、それと正面からきりむすぶ激しいたたかいの連続となった。わが党は、新しい政治局面での一回一回のたたかいから教訓を導き出しながら、中央と全国が知恵と力をあわせて、国政選挙の論戦と活動のあり方を探求、発展させてきた。

 二〇〇三年の総選挙は、財界主導の「二大政党制づくり」とのはじめての本格的なたたかいの場となった。わが党は、政党状況の急激な変化を分析し、その根本に財界戦略があることをたたかいのなかで追跡・探求し、正面からこの動きにたちむかったが、その訴えを国民的な規模で伝えることができず、議席を減らした。選挙戦を総括した十中総は、党中央のたたかう構えの立ち遅れ、財界の政治介入にたいする分析と告発の立ち遅れなど、反省点を明らかにした。

 二〇〇四年の参院選は、「二大政党制づくり」との二度目のたたかいとなった。この選挙でのわが党の政策的な訴えは、情勢と国民の利益にかなったものであり、国民の共感を広げたが、「自民か、民主か」の選択を国民におしつける動きが強い力で有権者の動向に影響をあたえるもとで、わが党への政策的共感が得票にむすびつかない状況も広範にあった。選挙戦の悔しい後退の結果を分析し、私たちは、「二大政党の選択」が国民におしつけられるという新しい条件のもとで、どのようにして日本共産党の議席の値打ちをおしだすかを教訓としてひきだした。その探求は、二中総決定に結実した。

 私たちは、二〇〇五年の総選挙で、過去二回の国政選挙からひきだした教訓を最大限に生かすたたかいをおこなった。突発的におこった解散・総選挙にさいして中央と全国が心一つに攻勢的にたたかう構えをいちはやくつくりあげた。二中総決定をふまえて、「野党としての公約」を打ち出し、「たしかな野党」をキャッチフレーズにたたかった。この選挙で、かかげた政治目標を実現することができなかったことは悔しいことだったが、難しい条件のもとで現有議席を確保し、全体として善戦・健闘といえる結果を出すことができたことは、たたかいへの構えでも、政治論戦でも、二回の国政選挙の教訓を生かした全党の奮闘によってえたものであった。

 三回の国政選挙の全体をつうじて、私たちが痛感した最大の教訓は、どんな条件のもとでも政治戦で前進をかちとるためには、わが党の実力は質量ともに不足していること、自らの力で「風」をおこして勝利をつかむための実力をつけることこそ、いまもとめられている緊急・重大な課題であるということだった。

 一連の選挙によって、わが党はきたえられ、多くの教訓をつかみ、重要な成果もえた。それらを生かして、二〇〇七年におこなわれるいっせい地方選挙と参議院選挙、きたるべき総選挙で、かならず本格的な前進をかちとるために力をつくそう。

(9)政党としての大道を歩む日本共産党――今日の政党状況のなかで

 総選挙後に生まれた政党状況の特徴は、一方で、議席で多数をえた小泉・自公政権が、国民の暮らしを壊し、平和を壊す反動的暴走を強め、他方で、議席を大きく減らした民主党が、同じ流れのなかで「改革競争」と称して暴走を競い合うという状況が生まれていることである。「二大政党制づくり」の本質が、日米安保条約堅持、憲法九条改定、庶民大増税、社会保障切り捨てなど、国の基本政策で同じ道を歩む「オール与党化」にあることが、いよいよ明りょうになっている。自民・民主の「大連立」がたえず問題になっているが、政治の中身のうえでは、すでに両党は事実上の「大連立」状態にある。自民・民主のこうした動向と国民との矛盾は、いよいよ激しくならざるをえない。

 公明党は、小泉政権を与党としてささえ、児童手当の拡大とひきかえに、自民党がもとめる防衛庁の「省」への格上げと教育基本法改悪に応じることを了承するなど、その反国民性と党略性はいよいよきわだっている。

 こうしたもとで、政党としての大道を歩む日本共産党の値打ちが、浮き彫りになっている。日本共産党とは、どういう特質をもった党か。今日の政党状況とのかかわりで、つぎの諸点を、広く明らかにしていくことが大切である。

 イ、党の綱領を党活動の指針として大切にしている党……わが党の新しい綱領は、異常な対米従属と大企業中心政治の改革という、自民党政治の古い枠組みそのものを改革する、大きな展望と方策を明らかにしている。日本の政党のなかで、こうした根本的改革の綱領をもっている政党は、日本共産党以外にない。

 綱領にたいして、日本共産党ほど厳格な態度をとり、それをあらゆる日常の党活動の指針として重視し、その路線を豊かにする努力をおこなっている政党はない。たとえば、わが党は、総選挙で「野党としての公約」を打ち出したが、そこで打ち出したどの公約も綱領に裏づけられたものであり、熱い政治論戦の切り結びのなかで綱領を具体化したものである。

 自民党、民主党にも「綱領」「基本理念」などと銘打った文書があるが、そこにはどういう日本をめざすのかという展望はのべられておらず、抽象的なスローガンが並べられているだけであり、日常の党活動の実際の指針とされているわけでもない。自民党が一九五五年の結党時にきめた「綱領」「党の政綱」は、「自主独立の完成」「福祉国家の完成」「駐留外国軍隊の撤退に備える」など、自民党がめざす国のあり方を、この党なりにしめすものだったが、いまもちいている「綱領」(一九九五年決定、二〇〇五年改定)には、自民党がどういう国をめざすのかは何も書かれていない。民主党の「基本理念」は、自由党と合流する以前の一九九八年につくられたものがそのままにされており、現在はつかわれていないものである。

 自民党にせよ、民主党にせよ、どういう日本をめざすのかを明らかにした「綱領」をもたないでもやっていけるのは、これらの党が、異常な対米従属と大企業中心政治という、古い政治の枠組みのなかに安住し、それを変える展望をもたない政党であることをしめしている。

 ロ、支部を基礎に自前の組織をもち、草の根で国民とむすびつく党……二〇〇五年十二月末現在、日本共産党の地方議員は三千五百五十人、地方議員第一党であり、女性議員数でも第一党の位置を占め、草の根から住民の利益をまもるかけがえのない役割をはたしている。市町村合併による大幅な議員定数削減のもとでおこなわれた選挙でも健闘し、議席占有率でみると党地方議員総数でピーク(四千四百五十六人)だった二〇〇〇年の7・11%から、7・29%へと、わが党の比重を高めていることは重要である。

 その大きな基盤は、全国の津々浦々にきずかれた草の根の党組織にある。わが党は、四十万人をこえる党員、職場・地域・学園に二万四千の支部をもち、百六十四万人の「しんぶん赤旗」読者をもっている。

 全国で二千五十六の市区町村のうち二千二十七の市区町村(98・6%)で、わが党の支部と党員が、住民の利益をまもって活動している。この間、中越大震災、福岡県西方沖地震、各地での豪雨災害など、日本列島はあいつぐ自然災害に見舞われたが、どの災害にさいしても、みずから被害をこうむりながら、その苦難から住民をまもるために献身的に活動したのが、党支部と党員であった。草の根で国民と結びつき、国民の利益をまもる自前の組織をもっていることは、わが党の大きな誇りである。

 日本には草の根での自前の組織をもつ政党は他に存在しない。自民党は、業界団体や企業を、民主党は労働組合を、公明党は宗教組織を、党の組織の代役にさせている。これは政党のあり方として邪道であるだけでなく、政党支持のいかんにかかわらずつくられたはずの組織に、特定の政党を支持させることは、民主主義を破壊する行為といわなければならない。

 「構造改革」路線の推進のなかで、自民党は、一方で、伝統的な支持基盤だった業界団体などとの関係を自ら壊しつつあるが、他方で、巨大企業まるがかえの選挙を大規模に展開するなど、財界への癒着と依存を組織的にもいっそう強めている。

 ハ、国民に依拠した財政活動をすすめる党……企業・団体献金と、政党助成金は、国民主権と議会制民主主義、基本的人権を侵害するものであるとともに、政党を堕落させる二つの腐食源ともなっている。

 とくにこの間、その害悪は、いちじるしく肥大化した。日本経団連は、財界の身勝手な要求を列挙した「優先政策事項」を発表し、それにもとづいて自民・民主両党に「通信簿」をつけて献金をあっせんし、経団連役員企業からの献金が激増している。これは最悪の政党・政策買収というほかないものである。

 わが党以外のすべての党が、政党助成金だのみの党になっている。自民党は収入の59%、民主党は収入の84%が、政党助成金である。「官から民へ」をとなえながら、政党の収入の大半を税金にたよる「国営政党」というべき存在に身を落としていることを、これらの政党はどう説明するのか。

 自民・民主両党の企業・団体献金、政党助成金だのみの体質は、個人献金が極端に少ないことにもしめされている。二〇〇四年に各党が政党本部として集めた個人献金の額をみると、日本共産党が十一億二千二百十万円であるのにたいして、自民党は三億二千九百万円(総収入にしめる割合は1・25%)、民主党にいたってはわずかに三十六万八千円(同0・0026%)にすぎない。企業・団体献金と政党助成金は、国民に財政的な根をもたない政党へと堕落させる役割をはたしている。

 日本共産党は、企業・団体献金も政党助成金も受け取らず、財政のすべてを国民に依拠する清潔な姿勢をつらぬいている。新しく完成した党本部も、多くの支持者と党員のみなさんの募金に支えられてつくられたものだった。財政活動には苦労や困難も多いが、国民に依拠した財政活動は、財界の横暴勝手と正面からたちむかう力の源泉となっている。それは、党と国民との結びつきを財政の面からも強め、わが党の発展の大きな生命力となっている。

 ニ、戦前・戦後の一貫した歴史をもつ党……日本共産党は、戦前・戦後の八十三年の歴史において、国民の利益をまもる立場をつらぬき、平和と民主主義をまもる立場をつらぬいた歴史をもっている。わが党は、『日本共産党の八十年』で、わが党の先駆的で不屈の歴史を明らかにするとともに、誤りや制約にたいしては自己分析性を発揮するという精神で、一貫した歴史を明らかにしている。

 自民党や民主党のなかには、“靖国史観”を公然と語る政治家がいまなお一つの流れをなしているが、その根源には政友会、民政党、社会大衆党など、侵略戦争を推進した政党が、戦後、名前だけ変えて、日本の政治の中枢にすわりつづけたという、戦前の政治とのあしき継続性がよこたわっている。侵略戦争と植民地支配に命がけで反対をつらぬいた戦前史を、誇りをもって語れるのは日本共産党だけである。

 戦後、自民党政治にたいする一貫した対決者としての立場をつらぬいた政党も、日本共産党だけである。一九九三年以降の政党の離合集散の歴史をみれば、わが党以外のすべての政治潮流が、自民党政治の加担者であるか、加担者であった歴史をかかえている。わが党は総選挙で「たしかな野党」をかかげたが、それは戦前・戦後の歴史の裏づけをもったものである。

 ホ、自主独立の立場で国際連帯・交流をすすめる党……日本共産党は、一九五八年の第七回党大会で「五〇年問題」を解決し、「自主独立」の立場をうちたて、相手が、アメリカであれ、旧ソ連であれ、中国・毛沢東派であれ、北朝鮮であれ、どんな外国の干渉・横暴にも屈せず、果敢にたたかい、日本の主権と自主性を擁護する立場をつらぬいてきた。

 自主独立の立場は、わが党が、平和と社会進歩のために、国際連帯と交流を発展させるうえでのたしかな土台となっている。それは、わが党が、事実にそくして世界の動向を分析し国際政策をうちたてるうえでも、科学的社会主義の理論を現代的に発展させるうえでも、重要な足場となっている。

 他の政党の外交をみると、大国に迎合する傾向、自主的立場の弱さが共通している。そうした自主性の弱さと欠如は、自民、民主、公明などの諸党が、今日の異常なアメリカいいなりの政治を、異常と感じないということに、もっとも集中的にあらわれている。

 日本共産党は、政党としての大道を堂々と歩む党である。その値打ちは、今日の政党状況のなかで、とりわけきわだっている。その姿に、自信と誇りをもち、多くの国民にそれを語り広げよう。

(10)「たしかな野党」の責任をはたし、憲法改悪を許さず、日本改革の方針を大いに語る

 二〇〇七年のいっせい地方選挙、参議院選挙、きたるべき総選挙にむけて、わが党は、「たしかな野党」の責任をはたし、日本改革の方針を広く国民に語る活動を大いにつよめる。

 (1) 「たしかな野党」としての責任をはたす。総選挙で公約した「たしかな野党」の三つの仕事――(一)間違った政治に反対する、(二)国民の要求実現のために奮闘する、(三)世界の舞台で野党外交を展開する――にとりくむ。

 そのなかで庶民大増税に反対するたたかい、憲法改悪を許さないたたかい、基地強化反対・撤去をめざすたたかいで、国会闘争と結合して国民的運動をきずいていくことは、「たしかな野党」としての直面する重大な任務である。

 イ、庶民大増税に反対するたたかい……この問題が、今後数年間の国政の大問題となることは必至である。すでに政府・与党は、所得税の定率減税の廃止にふみだし、二〇〇七年度には消費税引き上げのための法案を国会で成立させるスケジュールを明らかにしている。またそれと並行して、所得税の控除見直しによる大増税も実施に移されようとしている。民主党も、「年金目的」という名目での消費税引き上げ、所得税の控除見直しによる増税を打ち出し、同じレールの上で増税を競い合う姿勢を鮮明にしている。

 この動きにたいして、社会的反撃の国民的大運動をおこすことは、急務である。すべての党支部が、職場・地域・学園で、町内会、商店会、労働組合、中小零細企業団体などと広く共同して、懇談会・学習会にとりくむなど、草の根から増税反対の大きな運動をつくりあげていくことをよびかける。そのさい、すでに庶民増税反対で運動の先頭にたっている消費税廃止各界連絡会、消費税をなくす会の組織と活動をつよめ、共同して運動を発展させていくことを重視する。

 二〇〇六年に政府が強行しようとしている医療改悪、生活保護や就学援助の切り捨てを許さず、社会保障改悪に反対するたたかいを、関係諸団体との対話や協力を広げながら大きく前進させる。

 ロ、憲法改悪を許さないたたかい……改憲勢力が、憲法改定の具体案づくりを競い合うという新たな重大な局面が生まれている。

 自民党が、二〇〇五年十一月の結党五十年の党大会で採択した「新憲法草案」は、憲法前文から侵略戦争への反省などを削除するとともに、第九条二項を削除し、「自衛軍の保持」を明記し、その任務として「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動」を規定し、海外での武力行使に公然と道を開くものとなっている。「公益及び公の秩序」の名で、基本的人権を制約する条項が盛り込まれていることは、立憲主義の根本を否定するものである。さらに、国会による憲法改正の発議の要件を、現行の衆参両院での三分の二以上の賛成から、「各議院の総議員の過半数」の賛成に緩和するとしているのも、いっそうの憲法改悪への道を容易にするものとして重大である。

 民主党が発表した「憲法提言」も、「国連憲章上の『制約された自衛権』について明確にする」、「国連の安全保障活動を明確に位置づける」として、集団的自衛権の行使、国連多国籍軍への参加などの形で、海外での武力行使に道を開くものとなっている。

 米国からの改憲圧力が一段と強まるとともに、日本経団連が憲法改定の提言を発表するなど公然と旗ふりを始めている。

 憲法改悪を許さない運動をいま大きく発展させ、文字どおりの国民的多数派を結集する運動への成長をかちとることが、つよくもとめられている。

 日本の良心を代表する各界の著名人のよびかけではじまった「九条の会」は、結成から一年半をへて、全国の地域、職場、学園、分野で、四千をこえる草の根の「会」が結成されるなど、めざましい発展をとげつつある。わが党は、この運動が、立場の違いをこえて広く発展するように、その一翼をになって積極的役割をはたす。

 同時に、中央と、全国各地につくられた、憲法改悪反対の「共同センター」や民主団体との連携を強めることに力をつくす。改憲勢力の「論理」を打ち破り、憲法擁護闘争の大義と展望を明らかにするために、党独自の積極的役割を発揮して奮闘する。国際テロリズムを賛美する集団による妨害を許さないことは、憲法擁護闘争が、国民的・国際的大義をもって発展するうえでも重要である。憲法改定のための国民投票法案の強行を許さないたたかいにとりくむことは、直面する重要な課題である。

 憲法をめぐるたたかいは、二一世紀の日本の進路を左右するばかりでなく、世界とアジアの平和秩序にもかかわる歴史的闘争である。日本共産党は、反戦・平和の一貫した歴史をもつ党として、憲法改悪反対の一点でのゆるぎない国民的多数派を結集するために、党の存在意義をかけて総力をあげてたたかう。

 ハ、基地強化反対・撤去のたたかい……「日米同盟」の侵略的変質のもとでの基地強化の動きとのたたかいは、重大な局面をむかえている。政府・与党が、日米安全保障協議委員会(2プラス2)で合意した基地強化の方針を、強権的な手法でおしつけようとするもとで、全国各地で、知事・市長・町長をはじめ、自治体ぐるみで基地おしつけに反対するたたかいが広がっている。

 沖縄では、普天間基地返還の代替基地として、辺野古沖に新基地建設をすすめる動きがすすめられてきたが、長年の住民の粘り強いたたかいで頓挫を余儀なくされた。日米両政府は、そのかわりにキャンプ・シュワブ沿岸部に新基地を建設することを合意した。しかし、この計画は県民との矛盾をいっそう広げ、島ぐるみの反対運動が発展しつつある。沖縄の基地問題は、県内移設による「たらいまわし」では解決できないこと、SACO(沖縄に関する特別行動委員会)合意が完全に破綻したことは、いまや明らかである。

 今回の基地強化の動きは、米軍基地が集中している沖縄、神奈川をはじめ、青森、東京、山口、北海道、茨城、愛知、石川、福岡、長崎、宮崎、鹿児島など、日本列島全域におよぶものである。各地で自治体・住民ぐるみの運動を発展させ、国民的たたかいとして大きく合流しながら前進をかちとることがつよくもとめられる。

 (2) 新しい綱領と日本改革の方針を大いに語る。総選挙のとりくみから私たちがひきだした重要な教訓の一つは、新しい綱領と日本改革の方針を、広く国民に語り、国民の多数の共感と支持をかちとるとりくみを、党の日常の活動として、抜本的に強めることが重要であるということだった。

 新しい綱領と日本改革の方針にしめされた自民党政治の根本的改革者としての日本共産党の路線を広く国民に伝えてこそ、「たしかな野党」という訴えが、より大きな説得力をもって国民の心に響くようになる。選挙の時だけでなく、党の日常の活動として、この仕事にとりくむ。

 「日本にもとめられている改革とはどういうものか」、「日本共産党はどういう日本をめざしているか」、「日本共産党とはどういう党なのか」などについて、新しい綱領と大会決議を指針に、情勢の展開と国民の関心にかみあって、「生きた言葉・生の声」で語る運動にとりくむ。すべての支部、地区委員会、都道府県委員会、各分野・各層で、党を語る懇話会、懇談会、演説会を開催する。

 マスメディアへの積極的で効果的な対応をおこなうとともに、自力で、わが党のめざす改革、わが党の姿を広く国民に伝えていく努力こそ重要である。「しんぶん赤旗」読者の網の目を全国津々浦々にひろげることは、その基本である。全戸配布網、職場・地域新聞など「草の根の宣伝力」、インターネットの活用、新聞広告・テレビCMなど、全有権者を対象にした宣伝活動の改善・強化をはかる。

(11)二〇〇七年の二つの全国的政治戦をたたかう方針について

 二〇〇七年は、いっせい地方選挙と参議院選挙を連続的にたたかう年になる。連続する選挙で本格的前進をかちとる共通した土台は、参院選はもとより、地方選挙においても、党とその議席の値打ちを太くおしだし、党そのものへの支持を獲得する活動をたたかいの軸にすえることにある。

(1)地方政治の現状といっせい地方選挙について

 地方政治は、政府・財界のすすめる「構造改革」路線と国民生活との矛盾の激しい焦点の一つとなっている。

 ――「三位一体の改革」の名で地方財政への攻撃が強められている。財源の一部を地方に移すのとひきかえに、国の責任でおこなうべき福祉・教育のための国庫補助負担金を縮小・廃止し、地方交付税を削減することで、住民サービスの大幅な切り下げがおしつけられようとしている。

 ――「平成の大合併」の号令のもと、政府が強力に推進した市町村合併によって、全国の市町村数は、一九九九年三月末の三千二百三十二から、二〇〇六年三月末には千八百二十一まで約四割減ることになるが、政府は、引き続き市町村合併のおしつけを推進しようとしている。さらに重大なことは、いっそうの合併おしつけが、道州制の導入の検討と一体にすすめられようとしていることである。

 ――政府・総務省は、二〇〇五年三月に、「地方行革推進のための指針」を発表し、すべての自治体に二〇〇五年から五年間の「集中改革プラン」を策定させ、職員の削減、業務の民間委託と民営化など、福祉と暮らしのための施策のいっせい切り捨てをおしすすめようとしている。

 これらの地方政治への攻撃が、住民福祉の機関という地方自治体の存在意義そのものを否定するものだけに、住民との矛盾を広げ、注目すべき変化が生まれていることは重要である。合併の強権的おしつけにもかかわらず、政府が目標とした「一千の市町村」には遠くおよばず、合併を拒否した自治体はもとより、合併を選択した自治体もふくめて、住民が町づくりへの意識と自覚を高め、その不安、要求に真剣にこたえて活動する日本共産党への新たな期待、保守をふくめた広範な人々との共同が広がっている。

 都市部においては、福祉と暮らしを切り捨てる地方自治破壊の悪政にくわえ、「都市再生」を名目にした大型開発が、日本共産党をのぞく「オール与党」体制でおこなわれ、その害悪がうきぼりになるもとで、わが党への新しい期待が広がっている。

 このような状況のもとで住民の利益をまもり、「住民が主人公」の地方政治をきずくうえで、日本共産党地方議員(団)が地方政治ではたす役割は、いよいよ重要になっている。地方党機関は、その地域・地方で日本共産党を代表して、地方政治をめぐる新たな情勢に対応した活動を展開する。

 市町村合併がおこなわれた自治体では、地方議員がより広い地域で多くの任務をもって活動することになる。党機関は、地方議員と党支部がたがいに連携をつよめ、元議員の協力もえて、住民の利益を守る活動、強く大きな党の建設にとりくめるよう、積極的な指導と援助をおこなう。

 日本共産党の新たな前進の条件を生かし、当面する中間地方選挙で確実に勝利をつみかさねながら、二〇〇七年いっせい地方選挙では、「議席占有率」「議案提案権」「空白克服」という三つの目標で必ず前進をかちとる。

 とくに第四党にとどまっている道府県議、政令市議選において、現有議席の絶対確保と前進、県議空白六県の空白克服を重視する。そのためにも県政問題にたいするとりくみを日常的に強化することが大切である。連続してたたかわれる参議院選挙での政治目標と一体に得票目標を設定し、その実現に全力をつくす。

 いっせい地方選挙での前進、勝利をめざし、政治目標と予定候補者をただちに決定するとともに、統一選対、個別選対をいそいで確立し、「四つの原点」にもとづく系統的活動を強化する。

 すべての支部が、単位後援会を確立・拡大し、ニュースを届けて対話するなど、後援会員との日常的結びつきを強めるよう努力する。また、名簿と地図を整備、活用して、日常的・系統的に、党と予定候補者への支持を積み上げる。

 保守もふくむ無党派の人々との共同を広げ、日本共産党が与党の革新・民主の自治体を発展させるために力をつくす。

■(2)参議院選挙の目標と方針について

 二〇〇七年におこなわれる参議院選挙を、国政選挙で本格的前進に転じる選挙と位置づけ、勝利のために全力をあげる。

 比例代表では五議席を「絶対確保議席」として、今度こそ、全党の結束した力で必ず獲得する。比例代表選挙での得票目標は、六百五十万以上(得票率10%以上)とする。これは総選挙の比例代表選挙比で約一・三倍以上となる。総選挙のとりくみでは、「全国は一つ」の立場で、執念をもって比例代表で一票一票を積み上げるとりくみの積極的教訓が生まれたが、それを全面的に生かし、「比例を軸に」の方針を発展させる。

 比例選挙の訴え方は、これまでの二回の非拘束名簿式の選挙戦の教訓を生かし、「政党名での投票」を訴えることを基本にする。「絶対確保議席」の五人の比例候補者は、地域割りをおこなって候補者活動にとりくむ。担当地域の党組織は、五人全員の勝利とともに、各候補者の当選に責任をはたす。

 選挙区選挙では、全選挙区に候補者を擁立してたたかい、現職区である東京での議席の絶対確保とともに、二〇〇四年選挙で議席を失った神奈川、埼玉、愛知、京都、大阪、兵庫での議席奪還をめざす。これらの選挙区では、比例五議席絶対確保とともに、選挙区選挙でも大幅に得票を増やして、議席を獲得するという二重の任務をもって奮闘する。

(12)つぎの衆議院選挙での本格的な前進をめざす活動について

 今回の選挙の経験からも、いつ解散・総選挙になってもたたかえる活動と態勢づくりが必要である。つぎの総選挙では、衆議院の全国十一のすべての比例代表ブロックで議席を獲得し、増やすことを目標にする。

 比例ブロック選出議員は、それぞれの地域で有権者を代表する日本共産党の衆議院議員としての責任と、その地域での党支持者、後援会員、党員の奮闘が結実した議席であることへの責任という、二重の責任を負っている。比例ブロック選出議員が、その自覚にたって、予定候補者、ブロック事務所と力をあわせ、住民要求にこたえた活動をいっそう強化し、党と有権者との結びつきを広げることがもとめられる。

 小選挙区でたたかう意義と展望を、つぎの三つの角度から積極的に位置づけ、とりくみの系統的な強化をはかる。

 ――小選挙区は、選挙戦全体をたたかう基礎単位である。また国政問題で、党と有権者が日常的に結びつく基礎単位でもある。ここで結びつきと支持を広げる活動を積み重ねることは、比例代表選挙の前進にとって重要な意義をもつ。

 ――小選挙区は、激しい党派間闘争のなかで、党組織と党の政治家をきたえる重要な舞台である。今回の総選挙のとりくみでも、候補者となった党機関の幹部が、その活動をつうじて、機関活動を前進させる展望と自信をつかんだとの報告がよせられていることは、重要である。

 ――わが党は、二一世紀の早い時期に民主連合政府を実現することを目標にしている。そのためには比例代表での得票と議席をのばすことに力を集中しながら、小選挙区においても勝てる党への成長をめざすことが不可欠である。

 こうした展望にたって、小選挙区については、すべての小選挙区での候補者擁立をめざすという方針を堅持しつつ、一律には義務づけず、都道府県委員会の自主的判断にゆだねることを、つぎの衆議院選挙においても基本にする。条件のあるところで候補者を早く決め、系統的な日常活動で、有権者との結びつきを強め、要求にこたえる活動に積極的にとりくみ、党の支持を拡大し、積み上げていく活動を、ただちに実践する。

 衆議院選挙にむけたとりくみのなかで、小選挙区制、政党助成金制度、異常に高い供託金など、現行選挙制度・政治制度の反民主主義的な害悪を日常的に広く明らかにし、比例代表削減など選挙制度改悪にきびしく反対するとともに、公正で民主的な選挙制度への改革を主張してたたかう。

第四章 多数派結集をめざす国民運動の発展のために

(13)労働組合運動が、本来の役割を発揮し、新たな前進を

 (1) 自民党と民主党が憲法改定と庶民大増税を競い合い、労働者の生活と権利への攻撃を競うように強めているもとで、わが国の労働組合運動は、歴史的な転機ともいうべき新しい重要な局面をむかえている。

 「構造改革」路線は、「労働組合の既得権の打破」をスローガンにしているように、従来の労資協調主義の労働運動ですら、攻撃と切り捨ての対象としている。このもとで、民主党支持をおしつけられている連合系労組の要求と、民主党の立場との矛盾が激化している。憲法改定問題、教育基本法問題、庶民増税問題、公務員攻撃などを焦点として、矛盾が噴出している。民主党が「脱労組」宣言をおこなうなかで、特定政党支持に固執する路線は、深刻な矛盾におちいっている。

 こうした矛盾の激化は、労働組合が、労働者の要求実現という本来の役割を発揮し、前進をかちとる新たな条件をつくりだしている。「要求での団結」「資本からの独立」「政党からの独立」という労働組合運動の基本的な民主的原則にもとづいてこそ、労働組合は発展するということを大きな流れにしていくことが必要である。

 こうした情勢のもとで、全労連が、労働者、国民の利益をまもり、平和と民主主義をまもる運動を強め、労働運動の前進のためにいっそう積極的な役割を発揮することが、つよく期待される。

 (2) 新しい条件を生かして、労働運動の前進をはかるため、つぎの諸点に力をそそぐことがもとめられる。

 イ、要求にもとづく共同行動……労働組合間で、所属する全国組織の違いをこえて、一致する要求にもとづく共同行動を思い切って強める。県段階では、すでに憲法改悪反対、教育基本法改悪反対などの課題をかかげ、労働組合の共同行動がさまざまな形で広がっている。これを多面的に広げ、中央段階での共同行動の機運へと発展させることが期待される。このなかで労働組合運動の「政党からの独立」という方向への前進をうながす努力をはかる。

 ロ、未組織労働者の組織化……正社員の削減、非正規雇用労働者への置き換えが大規模にすすむなかで、労働組合の組織率は19・2%にまで下がっている。すでに全労連は、人間らしい労働とはほど遠い、無法と無権利状態のもとで苦しむ未組織労働者の組織化にとりくんでいるが、あらゆる可能性をくみつくして本格的なとりくみに発展させていくことが重要である。

 この点で、一人でも加盟できる「個人加盟ユニオン」が元気に活動し、非正規雇用労働者の待遇改善に大きな役割を発揮していることは注目される。組合員数二百人のフリーターを中心とする組合「首都圏青年ユニオン」が、米国企業の日本法人による違法派遣や無法な残業代不払いを告発し、勝利をかちとったことは、「たった200人のフリーター組合がグローバル企業を追い込んだ」と経済誌も大きく報じた。こうしたとりくみを励まし、発展させることがもとめられる。

 ハ、公務員攻撃をはねかえす……自民党と民主党が、競い合うように公務員の大幅削減、賃下げを打ち出していることは、公務員労働者と労働組合にとってのみならず、日本の労働運動全体にとって重大である。

 わが党は、すでに一九七〇年代、八〇年代に自治体労働者論、民主的公務員労働者論を発表してきた。そのなかで、行政機構を住民奉仕の立場にたって効率的に改革するとともに、公務員労働者・自治体労働者が、「全体の奉仕者」として国民・住民への奉仕という職務をはたすことと、労働者としての生活と権利をまもるたたかいを、統一的に追求することが大切であることを主張してきた。

 今日の公務員攻撃にたいして、この立場にたって、国民・住民との連帯をつよめ、攻勢的な反撃をおこなうことがもとめられる。公務員労働組合のなかで、保育所の改善、学校給食の改善など、地域住民の切実な要求を掲げ、その実現のための共同の運動を前進させるなかで、不当な攻撃をはねかえして組織を前進させている経験が生まれていることは教訓的である。

(14)革新懇運動、国民各層・各分野でのたたかいについて

 (1) 日本共産党が一九八〇年によびかけた全国革新懇は、無党派の人々と党との共同を広げ、民主的改革の国民的多数派をめざす運動として発展をとげている。草の根での革新懇は、最近十年間に倍加し、五百九十六の地域革新懇、百五十九の職場革新懇、三つの青年革新懇が組織され、合計七百五十八に達し、構成員は四百五十万人を擁している。

 この間のきわだった特徴は、幅広い知識人や文化人が革新懇と共同する形で、憲法問題や基地問題、増税問題や民主主義の課題での国民的な世論と運動を広げていることである。革新懇が「憲法改悪反対の一点での国民的共同」をよびかけたことは、憲法運動の国民的な発展のうえで、重要な推進力の一つとなっている。

 平和・民主主義・生活向上の三つの革新の共同目標のもとに、政治的立場や思想・信条の違いをこえて共同する革新懇運動が、「政治を変えたい」と願う国民の巨大なエネルギーを広く結集し、いっそうの前進をかちとることがつよくもとめられる。

 わが党は、新しい綱領に明記しているように、統一戦線を基礎に民主連合政府をめざしている。地域・職場に網の目のように革新懇をつくり、質的にも量的にもいっそう高い段階に発展させることは、希望ある新しい日本をつくる保障であり、わが党の綱領的な任務である。

 (2) 民主的改革の国民的多数派を結集するうえで、国民運動が、憲法問題、増税問題、社会保障問題、雇用問題、米軍基地問題など、焦眉(しょうび)の国政上の重要課題で、国民要求を結集して、壮大な社会的反撃のたたかいを発展させるとともに、分野ごとにも切実な要求をかかげて多面的な発展をかちとることがもとめられている。

 イ、子どもと教育……今日、学力の危機の問題、モラルの荒廃の問題など、さまざまな形で、子どもたちの心と成長を傷つける深刻な事態がひきおこされている。その原因の一つは、歴代の自民党政府が、憲法と教育基本法の民主主義的な原則をふみにじり、国連からも是正をもとめられるような過度の競争主義と管理主義を特徴とする教育政策をすすめるとともに、教育諸条件を貧困で劣悪なものに放置してきたことにある。

 自民党政府は、この間、「教育荒廃の解決」などとして上からの「教育改革」をおしすすめてきた。それは、(一)「選択の自由」「平等の打破」「多様化」などの名のもとに、学校間競争をあおりたて、競争主義をいっそう極端にする「新自由主義」の「改革」を教育におしつけて、子どもへの教育の格差を拡大するとともに、(二)「日の丸・君が代」の強制、職員会議の形がい化、「教員評価」という行政による統制の導入など、教職員・子ども・学校の自主性を奪いながら、権力が必要とする教育を子どもにおしつける国家主義をもちこみ、学校教育にいっそう深刻な矛盾を蓄積させてきた。義務教育費国庫負担制度の廃止など、わが国の教育条件の根幹を破壊しようとしていることも重大である。

 過度の競争主義と管理主義という病根にメスを入れないまま、「ゆとり教育」を上から画一的におしつけ、それが破綻すると一転して「学力重視」のおしつけをはじめるなど、自民党政治は教育政策の面でも破綻をふかめ、教育現場を疲弊させている。

 教育基本法改定は、国民主権にたった国民の教育権を否定して、それを国家による「教育権」におきかえ、主権者として一人ひとりの子どもの「人格の完成」を目的とする教育から、憲法改悪がめざす「海外で戦争をする国」にふさわしい人間を育てあげる教育への変質をはかろうとするものである。

 いま全国各地で、子どもの人間的成長と発達を願う、多面的な国民的運動が広がっている。教育基本法改悪反対の運動、少人数学級実現や私学助成増額のとりくみ、子どもの学力保障をめざす学校・地域でのさまざまな努力、非行や不登校の子どもと向きあい成長をささえる草の根からのとりくみ、戦争礼賛を子どもたちに教え込もうとする歴史教科書を許さない運動などが、豊かな広がりをみせていることは、重要である。上からの「教育改革」の矛盾が明らかになるもとで、教職員・子ども・保護者・住民などが共同しての一人ひとりの子どもの成長と発達を中心においた学校づくりの動き、住民本位の学校教育を模索する自治体の動きが広がっていることも注目すべきである。

 わが党は、子どもの人間的発達を願い、教育の危機を打開する運動をひきつづき発展させるために力をつくす。競争と管理を特徴とする教育政策を転換し、すべての子どもが主権者として必要な基礎学力、体力、情操、市民道徳を身につけることを保障する教育改革をはかり、そのための豊かな教育条件を確保するとともに、教育基本法改悪を阻止するために全力をあげる。また、子どもの権利条約の完全実施のために力をつくす。

 前大会決議は、日本社会の道義的な危機と、子どもたちへの深刻な影響について指摘し、それを克服するための国民的な対話と運動をよびかけたが、これは、子どもをめぐる深刻な事態を日本社会全体の力で打開する方向をしめしたものとして重要である。犯罪から子どもの生命と安全をまもる地域づくりの運動をふくめ、その具体化のとりくみを発展させる。

 ロ、食料と農林漁業……農業と農村の衰退は、食料自給率の低下をもたらし、地域経済や国土・環境を破壊し、日本国民の生存条件を根本からゆるがしている。政府・財界は、価格支持政策を全廃し、一定規模以上の農業経営以外を、農業の担い手から排除するという、家族経営を全面的に破壊する政策をおしすすめている。この亡国の政治に、日本農業の未来をたくすわけにはいかない。

 国民の多くは、安全・安心な国産農産物をもとめ、農林漁業と農山漁村の立て直しを願っている。BSE問題をはじめ食の安全をまもる運動、産直運動など都市と農村の交流、地産地消のとりくみ、森林と緑をまもるとりくみなども、多面的に広がっている。

 農業を基幹的な生産部門として位置づけ、その再建をはかり、食料自給率を計画的に向上させることは、国民的意義をもつ課題である。わが党は、(一)農産物の価格支持制度をまもり、価格・所得保障を農業予算の主役にすえて農業経営をささえること、(二)とめどもない輸入拡大をおさえるために、WTO農業協定を改定させ、食料主権を回復し、アジア諸国との多様な農業の共存と連携をめざすこと、(三)BSEの全頭検査を維持し、食の安全を確保するための体制の強化をめざすことなど、農業と食料をまもり発展させるたたかいの前進をはかるために奮闘する。

 水産資源の保全・管理を国の責任ですすめ、漁業の振興、水産物の自給率向上のために力をつくす。

 ハ、中小企業と地域経済……「構造改革」路線は、中小零細企業と地域経済に、深刻な打撃をあたえている。「不良債権処理」の号令での貸し渋り・貸しはがしの横行、「規制緩和」による大型店の野放図な出店、大企業による下請け切り捨て、消費落ち込みによる経営への圧迫などのもとで、年間四千人をこえる中小零細企業の経営者が、経済苦などから自殺に追い込まれていることは、痛ましい異常な事態である。

 このもとで、全国各地で、中小企業と地域経済をまもるための共同したたたかいが起こっていることは、重要である。中小企業の経営基盤を支えるために、自治体と住民、公的研究機関などが共同して、金融、技術、商品開発、販路拡大、経営相談などをおこなうとりくみが、全国各地にうまれている。自治体独自に、大型店出店を規制する「まちづくり条例」をつくり、地元商店街のにぎわいをとりもどすとりくみも広がっている。

 わが党は、国政の舞台で、中小企業予算の拡充、中小企業への資金供給に責任をもつ金融行政への転換、下請けいじめや大型店の身勝手を規制するルールの確立などにとりくむとともに、地域から中小企業をささえ発展させる、共同のたたかいに力をそそぐ。中小企業むけの公的金融機関を縮小・廃止する動きに反対し、その拡充をもとめてたたかうことは、急務である。

 ニ、子育て環境の改善……二十代後半から三十代にかけて約二千七百万人をしめる「子育て世代」の要求が切実化、顕在化している。その背景には、少子化がすすみ、それにたいして国民の多くが不安をいだいているにもかかわらず、日本の子育て環境の劣悪化がすすんでいるという問題がある。

 二〇〇五年九月に発表された「少子化と男女共同参画に関する社会環境の国際比較」(政府の男女共同参画会議・専門調査会)では、OECD加盟国のなかで、日本が、労働時間、雇用機会の均等度、地域の子育て環境、家庭内役割分担、子育て費用、若者の自立可能性などの子育て環境の指標で、もっとも遅れた国になっていることがしめされた。

 一九七〇年代以降、他の主要国では、子育てと仕事が両立可能な社会環境をつくり、女性の労働力率を大きくのばしている。それに対して日本は、七〇年代以降の女性の労働力率の伸び率はわずかであり、OECDの二十四カ国のなかで最も小さい。これは日本の子育て環境の劣悪さをしめすものであり、出生率の低下に歯止めがかからない一つの重要な原因となっている。

 安心して子どもを産み、育てることのできる社会をつくることは、日本国民の未来にかかわる大問題である。わが党は、長時間労働をなくし家庭生活との両立ができる人間らしい労働をとりもどすこと、男女差別・格差をなくし女性が働きつづけられる社会をきずくこと、保育所や学童保育など子育ての条件改善にとりくむこと、子どもの医療費無料化を拡充すること、若者に安定した仕事を確保することなど、子育て環境の抜本的改善をはかる運動を大いに発展させるために、力をつくすものである。

 ホ、環境をまもる運動……アスベスト、大気汚染、産業廃棄物の不法投棄などによる国民の健康被害、諫早湾干拓事業や川辺川ダム、八ツ場ダムなどむだな公共事業による環境破壊が、重大な問題となっている。同時に、米国が京都議定書から離脱するもとで、地球温暖化など地球的規模での環境破壊がいっそう進行し、これをくいとめることが緊急課題となっている。

 こうした状況のもとで、環境をまもる市民運動、NGO・NPOなどの運動が大きく広がっている。わが党は、これらの運動との協力と共同を広げ、地域でも、地球的規模でも、環境をまもる運動を発展させるために奮闘する。

 ヘ、男女平等の前進……日本の女性の社会的地位の低さ、平等の遅れは、社会全体の根本問題として国際的機関からくりかえし批判され、改善が強くもとめられている。女性労働者は雇用労働者の四割を占めているが51・7%が非正規雇用であり、パート労働者の七割は女性、派遣労働者の八〜九割は若い女性である。正規で働く女性労働者の賃金は平均で男性の賃金の68%、管理職に占める女性の比率は10・1%、夫婦が別々の姓を名のることが保障されていない民法、女性の性をおとしめ人格をふみにじる性の商品化の氾濫(はんらん)など、主要な先進資本主義国の中でもきわめて異常な状態がつづいている。

 女性差別撤廃条約の実施をもとめる取り組みは、国際的な運動と連帯を強めながら、新しい前進を生みだしている。昇格や賃金など差別是正の裁判の勝利、パート労働者の組織化、家庭内暴力の禁止、セクハラ防止など女性の人権を守る運動がねばりづよくすすめられた。

 わが党の女性議員は、地方議会・国会をあわせて第一党である。この力も生かし、広い女性団体や運動との共同をいっそう強め、この分野での国際条約の批准と実行、差別是正の実効あるルールの確立をめざし、男女平等の前進のために力をつくす。

 (3) 日本社会を、政府や財界からの不当な攻撃にたいして、強力な社会的反撃をもってこたえる社会へと前進させることは、二一世紀の日本の民主的前途を考えても、たいへん重要な問題である。

 労働運動が、人口の七割をしめる労働者階級の多数を結集する運動をめざして新たな前進をかちとるとともに、国民各層・各分野の運動を多面的に発展させ、多様な市民運動・住民運動との共同をつよめ、壮大な国民運動の高揚の波をつくるために、奮闘しようではないか。

第五章 党建設を本格的な前進の軌道に

(15)いま党建設にとりくむ意義を三つの角度からつかむ

 (1) 前大会以降、全党は、どんな激動のもとでも、主導的に情勢をきりひらく実力をもった、質量とも強大な党をつくるために、大きな努力をかさねてきた。

 前大会は、目前に迫っていた二〇〇四年参議院選挙での目標達成にむけ、二〇〇三年総選挙時比130%の読者拡大にとりくむ運動をよびかけた。このよびかけにこたえて、全国各地で新しい創造的なとりくみが展開され、党大会から参議院選挙にむけて全党的に約八万人の読者をふやしたことは、重要な意義をもつとりくみとなった。

 二〇〇五年四月の三中総は、二〇〇六年一月の党大会にむけた「党勢拡大の大運動」をよびかけ、二〇〇七年に想定される一連の全国選挙を、「五〇万の党員」「二〇〇三年総選挙時比三割増の日刊紙と日曜版の読者」でたたかうことをめざして、党大会までに三目標のそれぞれの半分以上をやりとげることを、提起した。

 「大運動」のとりくみで、党員拡大では、愛知県一宮尾北地区がみずからきめた「五〇万の党」の目標を達成したのをはじめ、徳島県と五地区が「大運動」目標をやりとげ、全党的には前大会時をうわまわり、四十万四千人をこえた。読者拡大では、香川、奈良の二県と五十二地区が前大会現勢をこえて大会をむかえたが、全党的には「大運動」の出発点をこえることができなかった。

 前大会以降、全国でとりくまれている党建設の運動のなかで、たくさんの豊富な教訓にみちたすすんだ経験も生まれている。しかし、それはまだ党の一部にとどまり、私たちのとりくみは、党勢を本格的な安定的前進の軌道にのせることには、まだ全体として成功しているとはいえない。

 今大会期の党勢拡大の目標は、いっせい地方選挙がおこなわれる二〇〇七年四月までに「五〇万の党」「二〇〇三年総選挙時比三割増の日刊紙と日曜版の読者」を達成するというこれまでの目標を堅持して、その実現にいどむ。

 二〇〇六年という年を展望すると、全国的な政治戦は予定されておらず、党の実力をつける仕事に、全党が本腰を入れ、力を集中してとりくむ条件のある年となる。この年を党建設の前進の大きな波をつくる歴史的画期の年とするために、中央と全国の党組織が心を一つに、知恵と力をつくそう。

 (2) 新しい綱領は、党建設の意義について、「日本共産党が、高い政治的、理論的な力量と、労働者をはじめ国民諸階層と広く深く結びついた強大な組織力をもって発展することは、統一戦線の発展のための決定的な条件となる」とのべている。

 この提起をふまえ、いま党建設にとりくむ意義を、つぎの三つの角度からつかむことが大切である。

 第一に、いま強く大きな党をつくることは、わが党の前途にとって重要であるだけでなく、日本の進路と国民の利益にかかわる意義をもつものである。

 とくに、今後の数年間を展望して、国政の最大争点となる憲法改定問題は、日本の国のあり方の根本、アジアと世界の情勢にかかわる、戦後最大の歴史的たたかいになる。またいま計画されている庶民大増税は、戦後税制のあり方の根本を破壊する空前の規模と内容をもつものであり、これにたいしても日本列島騒然となるような国民的反撃をもってこたえる必要がある。

 いま強大な党をつくることは、平和と暮らしを破壊する反動的暴走を許さない国民的たたかいのたしかなよりどころをつくる仕事である。

 第二に、二〇〇七年の二つの全国選挙でわが党が前進をかちとる最大の保障は、党勢拡大の本格的前進にある。

 どんなに政治論戦が正確であっても、それだけで選挙戦は勝てるものではない。選挙戦をたたかう客観的条件がどのようなものになるかは、私たちの願望だけで決まるものでなく、さまざまな逆風も吹けば、波乱もある。どんな難しい条件のもとでも、党の前進をかちとるためには、自らの力で「風」をおこすことが必要であり、そのためには党の実力がたりない。党の実力をつける仕事に執念をもってとりくまなければ、選挙戦で本格的な前進をかちとる大道は開けない。これらはこの間の数回にわたる国政選挙から全党がつかみとった最大の教訓だった。

 今度こそこの教訓を生かし、「五〇万」「三割増」の目標をやりきって二つの全国選挙をたたかい、どんな条件の選挙になっても、自らの力で勝利をかちとろうではないか。

 第三に、党の歴史には、党建設が決定的な意義をもつ特別の時期があるが、いまがその時期だということである。

 戦後の党の歴史をふりかえってみると、一九五八年の第七回党大会で「五〇年問題」を解決し、一九六一年の第八回党大会で綱領を確定して以後の党建設の前進は、歴史的意義をもつものとなった。一九五八年から一九七〇年までの十二年間に、党員は三万六千人から三十万人に、「赤旗」読者は四万七千人から百八十万人にという大発展をとげ、これが七〇年代の政治的躍進をきりひらく巨大な力となった。

 二一世紀の新しい情勢のもとで、新しい綱領を手にしたいま、この綱領を全党が学び、国民的規模で語り広げることができれば、日本の民主的改革をすすめる統一戦線に多数者を結集する大きな展望を開くことができる。一九六〇年代のとりくみに匹敵する党建設の大きな発展をかちとる意気込みで、いまこそこの課題に挑戦しよう。いまある党支部・党組織を強めるとともに、党支部がない職場・地域・学園に党支部をつくる活動に開拓者の精神でとりくもう。

(16)どのようにして党建設を本格的前進の軌道にのせるか

 (1) 党建設の基本的な方針は、第二十二回党大会、第二十三回党大会など、この間の大会決定で明りょうにしめされている。つぎのような諸点が一貫して強調されている。

 ――党建設の根幹としての党員拡大。党建設・党勢拡大の根幹は、党員拡大である。根幹とは、党のあらゆる活動――国民の要求にこたえる活動、政策宣伝活動、選挙活動、議会活動、機関紙活動などをになう根本の力が、党に自覚的に結集した党員であるということである。党員を増やし、学習を援助し、支部活動に結集する――この全体を党建設の根幹としての党員拡大に位置づける。

 党員拡大は、八〇年代の半ばから約十年間にわたって自覚的なとりくみが弱まり、党建設の遅れた分野になっている。この立ち遅れを全党の総力をあげて打開することは、党活動の緊急・中心課題である。

 ――「しんぶん赤旗」中心の党活動。機関紙活動は、たんに党建設のなかの一課題というだけではない。(一)党員と党支部、党機関が、「しんぶん赤旗」をよく読み、討議して、活動する。(二)持続的拡大と、配達・集金体制の強化をはかり、党と国民とのつながりを「しんぶん赤旗」を軸にして広げていく。(三)どんな活動にとりくむさいにも、読者と協力して、党活動を発展させる。(四)党財政をささえるという観点からもこの活動を重視する。機関紙活動を、党活動のあらゆる多面的活動を促進し、統一し、発展させていく中心にすえる。

 ――「支部が主役」の党づくりと学習・教育活動。「支部を主役」に「政策と計画」をもった党支部を全党の大勢にしていく活動にとりくむこと、学習・教育活動をつよめ党の理論的・政治的水準の向上にとりくむことなど、量とともに党活動の質的水準の強化のために、力をつくす。

 党員の学習を三つの分野――(一)新しい綱領を文字どおり全党が深く身につけることをはじめ、党の路線と歴史の学習、(二)科学的社会主義の理論そのものの学習、(三)党の当面の政策、方針の学習――でとりくむ。

 前大会後、新しい綱領を学ぶ運動は全党に広がったが、綱領を読了した党員が34・2%にとどまっていることはわが党の重大な弱点であり、ひきつづき全党の一大事業として学習運動の前進が必要である。綱領学習は、党員が不屈性と先見性を発揮して活動する最大の土台となるものである。

 科学的社会主義の世界観、歴史観を学ぶことは、新しい綱領をより深くつかむうえでも、社会発展の法則を根底からつかむうえでも、重要な意義をもつ。政治の表面では、情勢のジグザグの展開もありうるが、どんなに複雑で困難な情勢が展開したとしても、綱領的確信、世界観的確信があれば、前途を展望をもって見通し、自信をもって党活動を前進させることができる。党員、支部、党機関が、理論的・政治的力を身につけることは、ひきつづき党づくりの第一義的な優先課題である。

 (2) これらは、党建設の法則的な前進方向をしめした基本方針である。この基本方針にそって、どのようにしたら党建設を本格的な前進の軌道にのせることができるか。これは全党の実践と探求によって切り開くべき問題である。党活動の現状と弱点を直視し、大胆な活動の強化がもとめられている五つの問題について提起する。

 イ、「政策と計画」をもった「支部が主役」の党づくり……一九九四年に開催した第二十回党大会では、すべての支部が「政策と計画」をもち、その職場・地域・学園をどう変えるかの生きた政治目標を明確にして、要求活動と党建設に自覚的にとりくむ党活動をよびかけた。この活動は、全党に広がり、一九九七年に開催した第二十一回党大会決議では、89・4%の支部が「政策と計画」をもって活動し、「支部が主役」の活動が軌道にのってきたことを、「この間の党建設のうえでの最大の成果であり、わが党の党建設の歴史でも新しい局面をひらくものである」と評価している。

 二〇〇〇年に開催した第二十二回党大会では、党規約が改正され、第四十条の「支部の任務」として、「その職場、地域、学園で多数者の支持をえることを長期的な任務とし、その立場から、要求にこたえる政策および党勢拡大の目標と計画をたて、自覚的な活動にとりくむ」ことが明記された。

 しかし、この数年来のじっさいの活動を自己点検してみると、このとりくみに弱まりと中断がみられる。現状では、「政策と計画」をもった支部は、全党的に52%と、一時は約九割まで広がったとりくみが大きく後退している。

 ここには中央の日常的指導と援助の弱点が反映している。すなわち、「政策と計画」をもって要求活動と党勢拡大の「二つの基本の活動」にとりくむ支部を、党の大勢にしていくための指導と援助に、弱まりがあった。

 もとより、党勢拡大は、独自追求なしには前進しない。同時に、「政策と計画」をもって自覚的・自発的に活動する支部を、一つひとつ粘りづよく広げていく活動を土台においてこそ、党勢拡大の独自追求は実りあるものとなり、安定的で持続的な拡大が可能となることを、強調しなければならない。

 この教訓にたって、文字どおりすべての支部が、「政策と計画」をもった「支部が主役」の自主的、自発的活動にとりくむ党となることを、党づくりの要にしっかりとすえる。地区委員会も、都道府県委員会も、中央委員会も、全党にこの流れを広げ、定着させることを党建設の大道として一貫して追求する。

 つぎの諸点に留意して、「政策と計画」をもち、充実させることが大切である。

 ――その支部が責任をおっている職場、地域、学園を、どう変えるのかという、生きた政治目標を、みんなで議論して決めることが大切である。つぎの全国選挙での得票目標を決めることも、その大切な内容の一つとなる。

 ――「政策」をもつとは、それぞれが責任をおっている職場、地域、学園で、国民がどんな切実な要求をもっているかをつかみ、その要求の実現のためにどういう行動をおこすかを明らかにし、実際に行動をおこすことである。

 ――「計画」をもつとは、それぞれの政治目標を実現するためにも、国民要求を実現するうえでも、どういう力をもった党が必要かを目的意識的に明らかにし、党を質的につよめ、党員と読者を増やすとりくみをすすめることである。そのさい、支部に対応した単位後援会をつくること、後援会ニュースを広く発行して、つねに後援会員と相談し、その力をかりて活動を発展させることも大切となる。

 ――支部と党員がまわりの人々と日常的に広く深く結びつくことは、あれこれの党活動の手段ではなく、それ自体が党の活力の根本にかかわる問題であり、党の基本的なありかたにかかわる問題として、重視されなければならない。

 こうした「支部が主役」の党づくりをすすめるうえで土台となるのは、党支部のなかに支部長だけでなく複数からなる支部指導部をつくること、「党生活確立の三原則」――日刊紙を読む、会議に出る、党費を納める――を全党に定着させることである。

 「週一回の支部会議」の定期開催は、第二十二回党大会期に前進し全党の25%まで広がったが、第二十三回党大会期には19%前後にまで後退している。「週一回の支部会議」は、支部が理論的・政治的確信をもち、あたたかい人間的連帯でむすばれた人間集団として発展する要である。すべての支部が「週一回の支部会議」を開催し、みんなが参加したくなり、参加すれば元気がでるように、その内容の改善をはかりながら、支部会議を軸にした活動をつくることに力をそそぐ。

 ロ、党員拡大と読者拡大を安定的な前進の軌道にのせる……「支部が主役」の活動を全党に定着させる努力と一体に、党員拡大と読者拡大を安定的な前進の軌道にのせる独自の探求が必要である。

 前大会から二年間の活動で、党員拡大でも、読者拡大でも、持続的な前進をつづけている県と地区の経験を聞いたところ、つぎの共通した教訓がみられた。この教訓を全党のものとすることがもとめられる。

 (一)支部と党員が元気のでる政治的・理論的指導を、活動の中心にすえている。新しい綱領の学習に力を入れるとともに、党中央の決定、日々の「しんぶん赤旗」などでつねに情勢の展開の深い特徴と、わが党のはたしている役割を新鮮にとらえ、みんなのものにしている。

 (二)それぞれの党組織の政治目標と、党勢拡大の関係が明りょうにされている。選挙勝利の政治目標と党勢拡大の関係、要求実現の目標と党勢拡大の関係などの形で、生きた政治目標と党勢拡大との関係が、党機関から党支部にいたるまでの共通の自覚とされ、文字どおりの自覚的運動となっている。

 (三)憲法問題、増税問題、地域要求などで、日常的な政治宣伝と国民運動にとりくみ、党の元気な姿が有権者につたわる活動を重視し、その努力とむすびつけて、党勢拡大の独自追求の努力をはかっている。

 (四)すべての支部を視野に入れ、「政策と計画」をもって自覚的に活動する支部を、粘りづよく広げる努力をはらっている。困難をかかえている支部に一つひとつ足を運び、親身の援助をおこなっている。

 (五)党員拡大と読者拡大を相乗的に推進することに力をそそいでいる。新しい党員を迎え入れることが、党に新鮮な活力をもたらし、文字どおり「根幹」を太くする活動として、機関紙活動を前進させる力ともなっている。

 日本のマスメディアの現状とのかかわりで「しんぶん赤旗」の役割を広く訴えていくことが大切である。今日の多くのマスメディアは、本来のジャーナリズムの使命である「事実を伝える」「権力を監視する」の二つの原点を放棄してしまっている。イラク戦争反対の運動がおこっても、日本の良識を代表する人々が「九条の会」の活動を発展させても、その事実すらまともに報道しないのは、国民の「知る権利」にこたえて「事実を伝える」というジャーナリズムの基本を放棄した姿勢である。「権力を監視する」どころか、日米安保条約堅持、憲法改定、「構造改革」、庶民増税などで、全国紙がそろって推進役をつとめている姿に、「大政翼賛会のようだ」などの危惧(きぐ)の声があいついでいる。

 このような現状のもとで、真実を報道し、「権力を監視する」というジャーナリズム本来の仕事をはたす「しんぶん赤旗」は、闇夜のなかで輝く理性と良心の“たいまつ”ともいうべき存在である。紙面の充実に力をつくすとともに、「しんぶん赤旗」読者の網の目を日本列島の津々浦々に広げることは、直面する平和と暮らしをまもるたたかいをおこすうえでも、日本の民主的改革の国民的多数派を結集するうえでも、決定的な基盤となる。

 党の理論的政治的水準を高め、党と国民との多面的な結びつきを広げるうえで、党が発行する雑誌や書籍がになう役割は重要であり、その活用・普及につとめる。

 ハ、県・地区機関の体制と活動の抜本的強化をはかる……県・地区機関は、その地方・地域で日本共産党を代表して、地方政治に責任をもち、国民運動にとりくむとともに、党の内部指導でも、「支部が主役」の活動を広げることを重要な任務としている。党機関の体制を強め、指導水準を高め、機関幹部の保全をはかることは、いま党活動と党建設を前進させるうえで、一つの重大な「環」となっている。

 ところが、その体制の現状は、党の財政基盤の弱まりや後継者の養成の遅れともあいまって、党機関の指導中核である常勤常任委員の減少傾向が進行している。常勤者の不屈の献身的努力によって機関活動がささえられているが、支部への親身な援助がゆきとどかないという悪循環が生まれていることを直視することが必要である。

 この打開のうえで、今日の党の到達点のなかで生まれている新しい条件――職場を定年退職して年金生活に入ったベテラン党員の効果的結集をはかり、体制的にも充実した幹部集団をつくる努力をはかる。活動経験も人生経験も豊富な、試されずみのベテラン党員に、条件におうじて指導機関の任務を担ってもらうならば、機関活動の大きな前進がかちとれることは、全国各地で生まれている経験でも証明されている。

 地区委員会の体制強化のうえで、補助指導機関の適切な活用も大切である。とくに自治体合併にともなって、一つひとつの自治体が広域になり、それまで一町一支部だったのが、一つの自治体のなかにたくさんの支部が活動し、その一方で地方議員数が減っているなどの変化がおこっている。こうした変化にかみあって、自治体活動に的確に対応するとともに、党活動、党建設を前進させるために、補助指導機関をつくり、地区機関の体制強化をはかっていくことも探求する。

 財政問題は、中央でも、中間機関でも、重要な課題である。党勢拡大を財政基盤強化の面でもしっかり位置づけるとともに、党財政の根幹である党費の100%納入、「しんぶん赤旗」購読料の未集金・滞納問題を解決するための手立てをつくす。さまざまな困難を克服して未集金・滞納問題を解決している地区委員会の教訓は、「支部が主役」の配達・集金体制の確立の努力をはかっていることにあり、ここに問題解決の大道がある。

 わが党の将来の担い手となる若い機関幹部の計画的・系統的養成のために、中央も、都道府県も、特別の体制をとって、力をそそぐ。中央として「特別党学校」を開設する。「特別党学校」は、中央と都道府県・地区機関の若手の活動家を結集して、一度で“卒業”とする「学校」ではなく、年に数回という頻度で継続的に開き、理論、実践、党派性など、党の幹部として総合的な力をつけた後継者を育てる。

 ニ、職場支部の活動の抜本的強化をはかる……新たな転機をむかえている日本の労働運動の前進をかちとるうえで、いま職場支部のはたすべき役割はきわめて大きい。職場支部は、さまざまな攻撃に抗して不屈にたたかい、組織を維持・発展させてきたが、いわゆる「団塊の世代」の定年退職などを目前にひかえて、かけがえのない職場の陣地をつぎの世代に継承するうえでも、職場支部の活動強化に思い切って力をそそぐことが、強くもとめられる。

 職場支部は、労働組合運動の前進のために積極的役割をはたすとともに、党として独自に、すべての労働者を視野に要求実現のたたかいにとりくむ。一致する要求での共同行動、未組織労働者の組織化、公務員労働者への攻撃をはねかえすなどのたたかいは、どれも職場支部のたたかいの課題でもある。党支部として、労働者の要求をとらえた職場政策をもち、その実現のために奮闘する。学習・教育活動をつよめ、「構造改革」とリストラ攻撃のなかで洪水のようにおしつけられている誤った考え方と正面からたたかうことが大切である。

 これらのたたかいと結び付けて、長年きずいてきた陣地をひきつぐ後継者をつくることは、焦眉の課題であり、これ自体が重大な階級闘争の課題である。全国の経験でも、若い世代に、労働者としての誇りと働きがいを語り、党員としての生きがいを語る活動をつうじて、人間的信頼関係をつくり、党に迎え入れている経験が生まれている。こうした活動に本格的にとりくむ。

 職場支部への党機関の親身の援助をつよめるうえで、埼玉県委員会が、職場支部や労働組合運動のOBを結集して、県と地区に職場支部援助委員会をつくり、活動を前進させている経験は重要である。まず職場に足を運び、実情と悩み、要望を聞き、いっしょに考え、いっしょに行動して、機関と支部の間に信頼関係をきずくことを重視していることは、教訓的である。この経験にも学び、職場支部を援助する体制を、すべての都道府県委員会と条件のある地区委員会で確立する。

 このとりくみを推進するために、中央として「職場問題学習・交流講座」を系統的にもち、職場での党の指導的な働き手を系統的に養成する。

 ホ、若い世代のなかでの活動の強化について……いま若い世代は、不安定雇用、就職難、高学費など、異常に劣悪な状態のもとにおかれており、これを打開することは、日本社会全体にとっての大問題である。

 青年雇用問題は、とくに深刻である。失業率が全世代平均の二倍、二人に一人が非正規雇用という実態がある。異常な長時間労働による過労死が若い世代をむしばんでいる。一方的解雇・雇い止め、賃金・退職金の不払い、社会保険未加入、暴力的制裁など、無法行為が横行している。若い世代は、異常な大企業中心政治の矛盾の最大の集中点の一つとなっている。

 こうした状態を若者みずからの力で打開しようとする運動が発展していることは、大きな希望である。未組織の青年労働者がみずから組合を結成し、職場の無法とたたかう動きが全国各地でおこり、全国青年大集会、京都での「円山青年一揆」など、たがいに連帯を広げている。若者がこれらの運動への参加をつうじて、人間としての権利をたたかいとることを学び、仲間と心を通いあわせていることも、素晴らしいことである。わが党は、これらの運動を心から励まし、連帯し、ともにたたかう。

 青年支部づくりが提起されて六年、全国で四百をこえる青年支部が生まれ、平和や憲法の擁護、人間らしい雇用、十八歳選挙権の実現など、要求実現の旗を掲げ、青年を党に迎え入れる活動にとりくんでいる。同時に、過酷な労働条件にくわえ、職場や学校での異常な競争主義のもとで、人間的成長や生きがいをめぐる悩みをかかえている青年党員も少なくない。こうした悩みや困難を一つひとつ解決し、青年党員がその意欲と力を豊かに発揮していくうえで、青年支部への学習の援助を抜本的に強化するとともに、若い世代とベテラン世代との「交流と共同」――青年支部や民青班と、党機関・ベテラン党員とが交流・懇談し、お互いを理解しあい、力をあわせて若い世代に働きかけていく活動を発展させることが重要である。

 学生のなかでの活動を強化し、学生支部を強化することに、大きな力をそそぐ。この間、学園でおこなった党や民青同盟の講演会で、新しい綱領が明らかにした日本と世界の展望、未来社会論に、新鮮な共感の声が広くよせられている。わが党の路線は、学生の知的・理論的関心、生き方への模索に、正面からこたえる力をもっている。民主的教員とも連携をつよめ、党と科学的社会主義を語る大小の講座を、大学でおこなう。

 民青同盟は、地区委員会の再建にとりくんでおり、九都道府県二十八地区で再建をはたした。それらの地区では、地域の広範な青年の要求や関心にこたえる活動が強まり、党地区委員会との連携も改善され、新たな前進がはじまっている。民青同盟は、すべての都道府県で、地域協議会をつくり、地区委員会を再建することをめざしている。その実情をよくつかみ、学習を中心に親身な援助を強める。

 未来は青年のものである。そして日本共産党こそ、日本の未来を開くもっともたしかな進路をしめしている、未来の党である。若い世代のなかでの活動を抜本的につよめ、日本の社会進歩の事業の後継者をつくるために、全党の総力をあげたとりくみを、強くよびかけるものである。


(2006/1/23up)